ショウブ(菖蒲、Acorus calamus)は、池、川などに生える多年生の草本で、単子葉植物の一種。APG体系ではショウブ目ショウブ科のショウブ属に属する[注釈 1][1]。ユーラシア大陸に広く分布し、日本では北海道から九州までの水辺に自生する[2]。日本を含めて東アジアのものは変種 A. calamus var. angustatusとされる。薬草、漢方薬としても用いられている。アヤメ科のハナショウブと混同されることがあるが、本種は全く別の植物である[2]。漢名は菖蒲と書き表されるが、正しくは白菖と書き、漢方の菖蒲は小型の近縁種であるセキショウのことを指す[2]。
根茎は太く湿地の泥の中を短く横に這い、節が多くひげ根が出る[2]。地中の根茎の先端から地上へ多数の葉をのばす[2]。葉はハナショウブに似ており、左右から扁平で中央脈が高く、基部は左右に抱き合うように2列に並び、芳香がある[2]。花期は初夏の5月頃で、花は目立たない黄緑色の円柱状の肉穂花序に細花が一面につくが、小さいため見た目は花らしくない姿をしている[2]。根本の葉の間から延びる花茎は葉と同じ形をしており、肉穂花序の基部には苞が1枚つき、これも花茎の延長のように伸びるので、葉の途中から穂が出たような姿になる。
古くは現在のアヤメ科のアヤメではなく、この植物ショウブを指して「あやめ」と呼んでいた[要出典]
中国では古来より、ショウブの形が刀に似ていること、邪気を祓うような爽やかな香りを持つことから、男子にとって縁起の良い植物とされ、家屋の外壁から張り出した軒(のき)に吊るしたり、枕の下に置いて寝たりしていた。日本でも、奈良時代の聖武天皇の頃より端午の節句に使われ始め、武士が台頭してからは「しょうぶ」の音に通じるので「尚武」という字が当てられるようになり(勝負にも通じる)、軒先に魔除けとして吊るしたり、風呂に入れる習慣が伝えられてきた[2]。
菖蒲湯として用いられており、薬用効果を高めるために、芳香のある生の根茎や葉を大まかに刻んで布袋に入れて煮出したものが風呂に入れられる[2]。浴用の効果は、血液循環促進、冷え性、肩こり、疲労痛に効能があるとされる[2]。また、漢方薬(白菖、菖蒲根)にもなっている。苦味芳香性の健胃薬の効果があるものの、特殊な不快味があるうえ、悪心、吐気感を催してしまうことがあるため内服には使われない[2]。
近縁のセキショウ(石菖)は、やや小柄な深緑色の草で、渓流沿いに生える。根茎は、昔から薬草として珍重されており、鎮痛、鎮静、健胃薬にされ[2]、神経痛や痛風の治療にも使用した。蒸し風呂(湿式サウナ)では、床に敷いて高温で蒸す状態にしてテルペン(鎮痛効果がある)を成分とする芳香を放出させ、皮膚や呼吸器から体内に吸収するようにして利用する。
ショウブ(菖蒲、Acorus calamus)は、池、川などに生える多年生の草本で、単子葉植物の一種。APG体系ではショウブ目ショウブ科のショウブ属に属する。ユーラシア大陸に広く分布し、日本では北海道から九州までの水辺に自生する。日本を含めて東アジアのものは変種 A. calamus var. angustatusとされる。薬草、漢方薬としても用いられている。アヤメ科のハナショウブと混同されることがあるが、本種は全く別の植物である。漢名は菖蒲と書き表されるが、正しくは白菖と書き、漢方の菖蒲は小型の近縁種であるセキショウのことを指す。