ハヤブサ(隼[1]、鶻[1]、鸇、Falco peregrinus)は、ハヤブサ目ハヤブサ科ハヤブサ属に分類される鳥類。
南極大陸を除く全世界[2]
種小名peregrinusは「外来の、放浪する」の意[1]。寒冷地に分布する個体群は、冬季になると温帯域や熱帯域へ移動し越冬する[3]。日本では亜種ハヤブサが周年生息(留鳥)し、冬季に亜種オオハヤブサが越冬のためまれに飛来する(冬鳥)[4]。
全長オス38-45センチメートル、メス46-51センチメートル[2]。翼開張84-120センチメートル[2]。体重0.5-1.3キログラム[3]。メスの方が大型になる[3]。頭部の羽衣は黒い。頬に黒い髭状の斑紋が入る[2]。体上面や翼上面の羽衣は青みがかった黒[4]。喉から体下面の羽衣は白く、胸部から体側面にかけて黒褐色の横縞が入る[2][4]。
眼瞼は黄色く[2]、虹彩は暗褐色[4]。嘴の色彩は黒く、基部は青灰色[4]。嘴基部を覆う肉質(ろう膜)は黄色[2][4]。
19亜種に分かれる[3]。
河川、湖沼、海岸などに生息する。和名は「速い翼」が転じたと考えられている[1]。
食性は動物食の猛禽類で、主にスズメやハト、ムクドリ、ヒヨドリなどの体重1.8キログラム以下の鳥類を食べる[3]。獲物は飛翔しながら後肢で捕えたり、水面に叩きつけて捕える[4]。水平飛行時の速度は100㎞前後、急降下時の速度は、飼育しているハヤブサに疑似餌を捕らえさせるという手法で計測したところ、時速390kmを記録した[5]。
繁殖形態は卵生。巣をつくらずに(人工建築物に卵を産んだり、他の鳥類の古巣を利用した例もある[4])、日本では3-4月に3-4個の卵を断崖の窪みに産む[3]。主にメスが抱卵し、抱卵期間は29-32日[3]。雛は孵化してから35-42日で巣立つ[3]。生後2年で性成熟する[3]。
開発や採掘による生息地の破壊、農薬による汚染などにより生息数は減少している[a 3]。1993年に絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行に伴い亜種シマハヤブサと亜種ハヤブサが国内希少野生動植物種に指定されている[a 3]。イギリスでは、太陽光発電所の太陽光パネルに糞をするカモメを追い払うために、ハヤブサを定期的に放している発電所が存在する[6]。