大豆(学名 Glycine max)は、マメ科の一年草。完熟種子は主に搾油の原料となり、脱脂後の絞り粕(大豆粕)は飼料として利用されている。食用にもなり特に東アジアでは様々な利用形態が発達している。未成熟の種子を枝豆と呼ぶ。
農作物として世界中で広く栽培されている。日本には縄文時代に存在したと思われる大豆の出土例があり、『古事記』にも大豆の記録が記載されている。
ダイズ種子には苦み成分であるサポニン (Saponin) (ダイズサポニン)が多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。日本・ドイツでは「畑の(牛)肉」、アメリカ合衆国では「大地の黄金」とも呼ばれている。また、日本料理やその調味料の原材料として中心的役割を果たしている(後述)。菜食主義や殺生を禁じた宗教においては植物性のタンパク源として利用され、精進料理においても重用された事で多くの加工食品が生み出された。加工食品の技術が上がるにつれて、肉を模した代替食品としても注目されている。
古くからの在来種・固定種が多く現存している。両性花なので自家受粉可能であり、自家採種のしやすい植物である。その反面、葉の黄化や生育不良や収穫減少などの連作障害を起こしやすいため、隔年または2年ごと[2]に輪作を行ない、違う作物を作付けし、連作を避けるか、連作を行なうために土壌消毒や土壌改善を行う等の対策を練らねばならない。日本国内においては、このことが栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。連作障害にはダイズシストセンチュウが関与していると考えられている[1]。
元々極端に耐湿性が高い作物ではないため、稲作との輪作では水田地形特有の過剰な水分や冠水などがダイズの生育に影響を与えることがある。多くの場合、畝を高く盛ることで対応するが、アメリカのミシシッピ川デルタ地帯などの大規模な湿地帯の農家では対応が難しく死活問題となる。このため、耐湿性の強さに着目した品種の導入や改良も試みられている[3]。
ダイズを含む一部のマメ科植物は根に根粒もしくは茎に茎粒を持ち、根粒菌という細菌が共生している。根粒菌は植物からリンゴ酸などの効率のいい栄養分をもらって生活の場を提供してもらう代わりに、大気中の窒素を植物にとって使いやすいアンモニアに転換(窒素固定)する。窒素は植物にとって必須元素であり、肥料として取り入れる成分の一つであるが、自然界では一部の細菌と雷などでしか使用可能形態に転換できない。根粒菌はその能力が高いため、それを持つ植物は自ら窒素肥料を作ることができることになり、やせている土地でもよく育つものが多い[4]。ダイズも根粒菌との共生により十分な量の窒素分を吸収し、豊富なアミノ酸を産生でき、ダイズはその種子に他の植物には見られないような豊富なタンパク質を含有させている。
共生成立までの過程に於いて、Nodファクターと受容体による経路[5][6]とIII型分泌系による経路[7]の複数の経路が有ることが解明されている。
大豆は20世紀初頭までは、東アジアに限られた主に食用の作物であった。20世紀に入り油糧作物および飼料作物として世界に生産が広まり、世紀後半には生産量が急拡大し、21世紀には、大豆と脱脂大豆を合わせた交易重量は長らく世界最大の交易作物である小麦と並ぶ量となった[8]。
原産地は東アジアである。日本にも自生しているツルマメが原種と考えられている。
遺伝学的研究によれば、東アジアの複数の地域で野生ツルマメからの栽培化が進行し、日本も起源地のひとつである[9]。2010年代の考古学的研究では、アジアでも他の地域に先駆けてダイズの栽培化が進行した可能性が判明しており他の起源地は中国や朝鮮半島である[10]。縄文時代中期、紀元前4000年後半より日本列島での栽培が見られることが2015年の研究で判明し、この時期以降に野生種からの人為的な栽培に特徴的な種子の大型化がみられる[9]。2007年には、縄文時代後期中頃[11]。日本列島においては縄文時代においてアズキやリョクトウなどの炭化種実が検出されているためマメ類の利用が行われていたことが判明していた。山梨県の酒呑場遺跡から出土した土器のダイズ圧痕は蛇体装飾の把手部分から検出されており、これは偶然混入したものではなく意図的に練りこまれた可能性が想定されており、その祭祀的意図をめぐっても注目されている。
中国や日本などでは米・麦・粟・稗(ひえ)・豆(大豆)を五穀として重用されている。
ヨーロッパやアメリカに伝わったのは意外にも新しく、ヨーロッパには18世紀、アメリカには19世紀のことである。ヨーロッパにダイズの存在を伝えたのはエンゲルベルト・ケンペルだといわれており、彼が長崎から帰国した後、1712年に出版した『廻国奇観』において、ダイズ種子を醬油の原料として紹介した。ヨーロッパでは1739年にフランスでの試作、アメリカでは1804年にペンシルベニア州での試作が最初の栽培とされている。ベンジャミン・フランクリンの手紙の中に、1770年にイギリスにダイズ種子を送る旨が記してある。[要出典]ヨーロッパでそれ以前にダイズの存在を知られていなかった理由として、既に他の豆類が栽培されていたことや、土壌が合わなかったこと、根粒菌が土壌にない場合があったことなどが挙げられている。
ダイズが伝播後19世紀にかけては、アジア圏以外では重要な作物とはみなされておらず、緑肥や飼料作物としての生産に留まっていた。20世紀に入り搾油用の需要が拡大していった。ヘンリー・フォードは、油脂の採取、繊維・プラスチックの開発目的で大豆農園を経営していた。作物(油糧作物)として注目されるようになったのは1920年代以降であり、ヨーロッパで食料として初めて収穫されたのは1929年とされる。アメリカで本格的にダイズが栽培されるようになったのは、1915年にワタミハナゾウムシ(英語版)の侵入によってアメリカ南部の綿花が大打撃を受け、それまでアメリカの製油業の中心であった綿実油が不足してからである。ワタに代わる新たな製油材料として、それまでも徐々に栽培を拡大させてきたダイズは一気に脚光を浴びることとなった。1920年代には製油用や飼料用としての需要の高まりにより、さらに大規模に栽培されるようになった[12]。第二次世界大戦後、アメリカは世界最大の大豆生産国となったが、1973年に大豆の輸出規制を実施。大豆の消費の多くをアメリカからの輸入品に頼っていた日本は、輸入国の多様化を図る必要性に迫られた。当時の田中角栄政権は、ブラジルで放棄されてきた内陸部のサバンナ地帯(セラード)に着目、大豆生産を働きかけたところ軌道に乗り、2010年代のブラジルはアメリカに匹敵する規模の大豆生産国となった[13]。
タンパク質含有量の高いダイズ種子は用途が広く、様々な食品の製造に加工されている。そのタンパク質以外の成分である脂質からは食用油以外にもレシチンなどが抽出され、利用されている。
原産地である東アジアでは、大豆(中国・日本)、黄豆(広東語・贛語)と呼ばれている。その他の多くの地域では、東アジアにおける名称とは異なったSoy/Soya、もしくはそれに類似した呼称が使われている。このSoyの起源は日本語の醤油であると考えられている。その経緯は、17世紀にオランダが日本との通商をとおして醤油をsoyaとしてヨーロッパへ紹介したことに遡る[14]。
英国においても、17世紀の文献に醤油をSaio(広東語shi-yau起源か?)、Soyとした記述が見られる。その後20世紀に入るまでSoyとは醤油を意味する単語であった。20世紀に入り、東アジア以外の国で大豆が主に油糧作物・飼料作物として栽培・利用されるようになり、醤油の原料であることから英語ではsoybeanまたはsoya bean、他の国でも同様に呼ばれるようになった[15]。
日本は現在大部分を輸入に頼っているため、2003年に世界的不作から価格が高騰したときには大きな影響を受けた。最大の生産国はアメリカ合衆国、次いでブラジル、アルゼンチン、中華人民共和国と続く。アメリカの大豆生産量は増減が激しいが、近年アルゼンチンとブラジルの大豆生産量が大きな伸びを示している。輸出国は、アメリカ合衆国、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、カナダの順である。日本の輸入量は、中華人民共和国、EU 27カ国に次ぐ世界第3位である。中華人民共和国では経済成長に伴う食生活の変化により消費量が増加しており、これからも増え続けると見られている[19]。この需要に応えるため、ブラジルでは天然林伐採を伴う大豆農地の拡大が進んでおり、問題視されている。また、ダイズ農場は一つの農場当りに必要とされる労働者が少ないため、失業問題にも繋がっている。
日本国内のダイズ生産量は平成22年度で222800トンであり、県別では北海道が57100トンで最大産地となっており、以下宮城県の18100トン、佐賀県の17700トン、福岡県の16100トンと続く。日本でダイズ生産量が1万トンを超えるのはこの4道県のみである[20]。平成26年では231,800トンであり、県別では北海道が73,600、以下宮城県19,300, 佐賀県15,300、福岡県14,300となっている。平均収量は、北海道(233kg/10a)・佐賀(229kg/10a)・福岡(198kg/10a)の順で、収穫量の上位の収量が多い[21]。
2007年のダイズの世界消費は、大豆油製造用が87%と圧倒的多数を占め、ついで飼料用が7%、食用が6%となっている[22]。また、ダイズから油を絞った後のダイズ搾りかすも飼料として価値が高く、世界の穀物取引の中心であるシカゴ商品取引所にはダイズとダイズ搾りかす(大豆ミール)がともに上場され、盛んに取り引きされている。
以下は2013年度の全世界の大豆の需要供給の収支表である。大豆の総生産量は2億7836万トンで、その38.4%の1億692万トンが輸出された。輸入量が1億209万トン、在庫変動がプラス608万トンであった[23]。
大豆需供バランス 2013年[23] (単位百万トン) 総供給量比 備考 大豆以上のように大豆の第一次用途の最大のものは搾油用の85%であり、食用は4%に達しない。ダイズ油の食用分9.1%を加味しても総生産重量の約13%しかヒトの食用となっていない。一方で飼料用途では未加工大豆で6.53%、大豆ミールで65.76%の合計72.29%が使われており、重量の観点からは大豆は飼料作物である。飼料、食用に次ぐ三番目の用途はダイズ油のその他の6.53%で、これはバイオディーゼルや化学工業用である。近年飼料やバイオディーゼルとしての需要が拡大し続けており、食用の比率は年々低下している。
日本国内のダイズ消費量は2005年度に534万8000トンであり、このうち大豆油用が429万6000トン、食用が105万2000トンである。ダイズが基幹食料となっている日本では食用消費の占める割合が世界消費に比べかなり多くなっているが、それでも20%弱に過ぎない。日本国内の食用消費の内訳は、豆腐が49万6000トンで半数近くを占め、ついで味噌・醬油用が17万1000トン、納豆用が13万6000トン、煮豆や惣菜用が3万3000トン、その他が21万5000トンとなっている。国産大豆は食用消費の21%を占めている[24]。
大豆種子はタンパク質・脂質および炭水化物を豊富に含んでおり、主にその脂質とタンパク質を食用および飼料用に利用するために大規模に生産され利用されている。
ダイズ種子貯蔵タンパク質のアミノ酸残基組成において、含硫アミノ酸であるメチオニンとシステイン残基が少なく、それらは制限アミノ酸となっていると言われたことがある。そのため、タンパク質の有効利用効率を示すアミノ酸スコアやプロテインスコアを下げていると言われていた。しかし、これらは成長期のラットに基づく数値であり、その後、ヒトに基づく数値に置き換えられ、具体的には、大豆のアミノ酸スコアが1973年には86点だったものが、1985年には100点と変更された。大豆は、牛乳や卵と同等の良質なタンパク質であるとの評価を得ている[27]。
多くのマメ科植物の種子と同様に、ダイズ種子中には有毒なタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビター(プロテアーゼ阻害剤) (トリプシン・インヒビター、セリンプロテアーゼ・インヒビター(セルピン))やアミラーゼ・インヒビター(Α-グルコシダーゼ阻害剤)やレクチンが含まれて消化を阻害するため、生食はできない。トリプシン・インヒビターを含むものを摂食すると消化不良を起こし下痢することがある[28]。そのため、加熱してプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターを変性・失活させて消化吸収効率を上げている。なお、加熱してもプロテアーゼ・インヒビターの失活は十分ではないので、納豆菌などを繁殖させて納豆菌の分泌するプロテアーゼによってダイズ種子中のタンパク質とともにタンパク質性のトリプシン・インヒビターを分解させると、分解されたタンパク質と相まって消化酵素であるトリプシンが正常に機能してタンパク質の消化吸収効率が増大する。
トリプシンインヒビター活性の高い生大豆を飼料としてラットに摂取させると成長阻害や膵臓肥大などの有害作用が引き起こされることが報告されている[29]。この膵臓肥大は、腸内で阻害されるトリプシンを補うための膵臓の機能亢進の結果として生じると考えられる[30]。生大豆粉はラットの膵臓癌と相関することが知られているが[31]、加熱調理済みの大豆粉の発ガン性は認められていない[32][33]。大豆がヒトの膵臓癌を促進する可能性があるかどうかの研究はまだ十分でないため不明である。ラットに与えられている大豆の量は、人間が通常摂食する量に比べてはるかに大きい[34]。
大豆乳の加熱処理について、100℃10分間の加熱処理した大豆乳には加熱未処理試料のトリプシン・インヒビター活性の約34%が残存し、また100℃20分間では約30%、120℃10分間では約10%、120℃20分間でも約5%のトリプシン・インヒビター活性が残存した[35]。
黒大豆を95℃で加熱した場合のトリプシン・インヒビターの活性変化について、1%のNaCl(食塩)溶液中、16%のショ糖溶液中では、いずれも60分の加熱でトリプシン・インヒビターの70%の活性が残存していたが、0.1%の重曹溶液中の45分の加熱でトリプシン・インヒビターの活性は完全に失われた[36]。
ダイズから得られる大豆油は、パーム油に次ぐ代表的な食用油であり、大豆需要の87%を占めている。主要な生産国は、中国、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンで、上位5カ国で8割を占める。日本では菜種油が好まれるため、大豆油の生産量は40万トン前後と菜種油の半分以下に留まる。 近年では環境配慮型の素材とされる大豆インキの原料としての需要も拡大している。
残渣の大豆粕は醤油の原料や家畜の飼料、大豆ミールとして粗タンパク質源に利用されていたが、最近は『ヘルシー』を売りにした小麦粉代替食品としても拡販が進んでいる。
飼料としての大豆はタンパク質源として良質で、肉牛を肥えさせたり、鳥の産卵率を上昇させるのに大きく寄与している。ただし、含有タンパク質中のメチオニンやシステイン残基含量が少ないため、タンパク質の有効利用効率を上げるために、メチオニンやシステインを多く含む他の飼料と混合して利用されている。近年、特にBSE問題によって飼料のタンパク質源として肉骨粉の利用が規制されたため、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の需要は増している。かつては温帯・亜熱帯でしか栽培可能でなかったが、技術の向上により、栽培できる地域が拡大した。
ダイズ種子(大豆)はタンパク質や脂肪、鉄分、カルシウムなど、ミネラルを多く含む。
日本では色々な形に加工され、利用されている。まず、大豆を暗所で発芽させるとモヤシ、未熟大豆を枝ごと収穫し茹でると枝豆、さらに育てて完熟したら大豆となる。大豆を搾ると大豆油、油を絞った粕は大豆粕として食用・醤油製造や飼料へ、煎って粉にするときな粉、蒸した大豆を麹菌と耐塩性酵母で発酵させると醬油・味噌、また蒸した大豆を納豆菌で発酵させると納豆となる。熟した大豆を加水・浸漬・破砕・加熱したものを搾ると液体は豆乳、その残りはおから、豆乳を温めてラムスデン現象によって液面に形成される膜を湯葉、にがりを入れて塩析でタンパク質を固めると豆腐、豆腐を揚げると「油揚げ」「厚揚げ」、焼くと「焼き豆腐」、凍らせて「凍み(高野)豆腐」となる。大豆にはサポニン等水溶性の低分子化合物やタンパク質性のプロテアーゼ・インヒビターやアミラーゼ・インヒビターやレクチンなどの有毒成分が含まれており、これらの加工には有毒成分の除去や解毒の意味もある。
食用大豆の用途別使用量/1000 t (食料産業局食品製造卸売課の推計[42]) 年 みそ 醤油 豆腐・油揚げ 納豆 凍豆腐 豆乳 煮豆・惣菜 きなこ その他 合計 1997 165 26 494 122 30 3 33 14 132 1,019 1998 162 26 495 128 30 4 33 16 152 1,046 1999 166 30 492 127 29 6 33 17 117 1,017 2000 166 30 492 122 29 7 33 17 114 1,010 2001 149 32 492 129 29 9 33 17 125 1,015 2002 149 35 494 141 29 11 33 17 126 1,035 2003 138 38 494 137 30 19 33 17 128 1,034 2004 139 37 496 139 33 29 33 18 129 1,053 2005 141 40 494 131 33 32 33 18 130 1,052 2006 140 40 492 130 33 30 33 18 130 1,046 2007 139 40 497 130 30 25 33 19 132 1,045 2008 137 39 496 129 29 25 33 19 130 1,037 2009 131 39 490 125 27 29 33 19 100 993 2010 127 39 480 123 26 32 33 19 97 976 2011 126 35 465 122 24 34 31 18 95 950 2012 124 33 450 123 22 40 30 17 93 932蒸した黒豆(黒大豆)を発酵させてから乾燥させたものは、香豉(こうし、別名:豆豉(ずし))という生薬であり[43][44]、陶弘景校定による『名医別録』には「豉」として収載されている[43]。香豉には発汗作用、健胃作用があるとされ、香豉を含有する漢方薬には梔子豉湯、瓜蔕散などがある[43][44]。本来、黒豆の発酵・乾燥品を用いるが、現在では納豆を乾燥させたものを代用する[44]。
現在日本でよく知られている大豆加工食品には以下のようなものがある。
大豆オリゴ糖を含み整腸作用がある。大豆オリゴ糖を関与成分とした特定保健用食品が許可されている[46]。
大豆をよく食べる女性グループで脳梗塞・心筋梗塞のリスクが低下した[47]。疫学調査では、大豆の摂取は肥満および閉経後女性で糖尿病発症のリスクが低下するものの、全体としては糖尿病発症との関連なしとされた[48]。
デザイナーフーズ計画のピラミッドの1群に属し、ショウガと共に、癌予防効果のある食材の第3位として位置づけられていた[49]。2006年3月27日、アメリカ合衆国の健康専門月刊誌『ヘルス』による世界の5大健康食品が発表され、スペインのオリーブ油、日本の大豆、ギリシャのヨーグルト、インドのダール(豆料理)、大韓民国のキムチの5品目が選出された。
順天堂大学の研究によれば、納豆の摂食頻度と月経状態・月経随伴症状は有意の関係がみられ、摂食頻度の増加は症状を軽減させている可能性があるとしている[50]。
雄の2型糖尿病マウスに大豆サポニンAグループと大豆サポニンBグループを別々に投与したところ大豆サポニンBグループに血糖値上昇抑制作用は認められたが大豆サポニンAグループにはその作用は認められなかった[51]。
全年齢では鶏卵38.7%、牛乳20.9%、小麦12.1%が3大アレルゲン(ピーナッツと魚卵を足し5大アレルゲン)であり大豆は1.5%の11位である[52]。アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、アトピーや喘息などアレルギー素因のある者は注意が必要である[53][54]。
大豆イソフラボンとは、大豆に含まれるゲニステイン、ダイゼイン、グリシテインなどのイソフラボンの総称で、弱い女性ホルモン作用を示すことから骨粗鬆症や更年期障害の軽減が期待できる[55][56][57]。
イソフラボンはヒトに対する悪影響も懸念されており(詳しくはイソフラボンを参照)、内閣府食品安全委員会は食品とサプリメントを合わせた安全な一日摂取目安量の上限値を、一日あたり70 - 75mgに設定している[58]。なお日本人の食品由来の大豆イソフラボン摂取量は15 - 22mg、多い人でも40 - 45mg程度である。
BSE問題が顕在した結果、それまで畜産飼料として利用されていた肉骨粉の利用が規制され、それに伴い、肉骨粉に替わるタンパク質源としてダイズ種子の利用が急激に増えた[59]。需要が急増したため、南米諸国、特にブラジルやアルゼンチンでの栽培が増えた。その結果、アマゾンの熱帯雨林において、大豆生産のためのプランテーションの大規模な開発が行われており、それによる森林の消失が問題になっている[60]。
日本においては、節分の日に炒った大豆をまく「豆撒き」の風習がある。
大豆の生豆を噛みつぶし、それを子供の頭の上に塗るとかんの虫が切れるという風習が長野県秋山郷地方に伝承されている[61]。