シギダチョウ科(シギダチョウか、学名 Tinamidae)は、鳥類シギダチョウ目 Tinamiformes の唯一の科である。古くは深胸類 Carinatae とも言った。シギダチョウ(鴫駝鳥)と総称される。
最小種はマメシギダチョウで全長15cm。オスよりもメスの方がやや大型になる。頸部は長い。尾羽は短い。
嘴は細長く、下方へ湾曲する。第1趾は第2–4趾よりも上方にあり、小型で種によっては退化している。
古顎類の中で唯一、竜骨突起を持ち胸筋が発達し、短距離なら飛ぶことができる。
森林や草原に生息する。地表棲。走行は得意だが、持久力に乏しく短距離しか走行する事が出来ない。飛翔する事はできるが、飛翔力は強くない。危険を感じると地面の窪みや茂みに逃げ込み静止する。
食性は植物食もしくは植物食傾向の強い雑食で、植物の芽、根、果実、種子、昆虫などを食べる。
繁殖形態は卵生。地面の窪みや窪みに草や木の枝を敷いた巣に、複数のメスが卵を産む。オスのみが抱卵、育雛を行う。
伝統的に、単独でシギダチョウ目を構成してきた。古口蓋型の口蓋を持つため、ダチョウ目などと共に古顎類に分類される。
かつて古顎類は、竜骨突起を持つ深胸類 Carinatae(シギダチョウ目のみ)と、竜骨突起を失った平胸類 Ratitae (他の全ての目)に分かれ、互いに姉妹群だと考えられていた。Mayr (1979) はその考えに従い、平胸類の目を統合し広義のダチョウ目とし、Sibley分類もそれを踏襲した。
しかしDNAシーケンス解析により、平胸類は側系統であることが判明した。ダチョウ目以外の古顎類が単系統をなす可能性が高いが、シギダチョウ目の姉妹群がレア目なのかヒクイドリ目+キーウィ目なのかは不確実である[1]。「シギダチョウ」という名に反し、ダチョウとは(もちろんシギとも)特に近縁ではない。
古顎類シギダチョウ目
国際鳥類学会 (IOC) によると9属47種が属す[2]。模式属はオオシギダチョウ属である。
生息地では食用とされることもある。
開発による生息地の破壊、食用の乱獲などにより生息数が減少している種もいる。
カンムリシギダチョウ
E. elegans
マメシギダチョウ
Ta. nanus