ホシムクドリ (星椋鳥、学名:Sturnus vulgaris ) は、スズメ目ムクドリ科に分類される鳥類の一種である。
名前の由来は、暗い体色に星状の斑点がちりばめられていることによる。
ヨーロッパ東部、スカンジナビア半島、ロシア西部からバイカル湖周辺までの広い地域で繁殖し、冬季は中央アジアやイラン、アラビア半島、アフリカの地中海沿岸の地域に渡り越冬する。
北アメリカの広い範囲やハワイ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国等には、他の地域から持ち込まれた個体が外来種として生息する。
日本には亜種 S. v. poltaratskyi が、数少ない冬鳥として渡来するが、西南日本での記録が多い。ほとんどが単独の渡来だが、島根県や鹿児島県では、毎年少数の群れが越冬している。
全長約21cm[3] (20-23cm[4])。体重82g[4]。ムクドリよりやや小型であり、くちばしもやや細い[5]。冬羽は全体が光沢のある黒色で、白や黄白色の斑が散らばっている。足は赤黒く、嘴は黒色である。夏羽では、斑が目立たなくなる。雌雄同色である。
農耕地、市街地や開けた林などに生息する。日本ではムクドリの群れに混じっていることが多い。
淡緑青色の卵を4-6個産み、14-15日抱卵する。卵の大きさは2.7-3.15cm × 2.0-2.3cm。日本では繁殖しない[5]。
原産地のヨーロッパをはじめとして、19世紀に移入された北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどにおいて、ムクドリ科特有の集団就眠による騒音や糞害、さらには果樹や野菜への食害といった問題行動により蛇蝎の如く嫌われている。なお日本では稀に見られる冬鳥であるため、本種はさほど問題にならないが、似たような性格を有するムクドリが上記の害悪をもたらすため同様に嫌われる。
多様な環境に適応できる特殊能力を有し、また移入先では生態的に優位な位置に落ち着いて大増殖し在来鳥類の繁殖を阻害するため世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種に選定されている。
北アメリカの個体数は現在約2億羽と推定されているが、その全ては1890-91年にかけてアメリカ順化協会の設立者ユージン・シーフリン Eugene Schieffelin がヨーロッパから輸入してニューヨークのセントラルパークで放ったおよそ100羽の子孫である。なお、この移入に関してはシーフリンがシェークスピアの戯曲に登場する全ての鳥をアメリカに定着させたかったから、という理由付けがよくされるが、それを裏付ける確実な証拠はなく、あくまで推測の域を出ない都市伝説である。