ムラサキツメクサ(紫詰草、Trifolium pratense)はシャジクソウ属の一種である。和名ではアカツメクサとも、あるいは一般に赤クローバーとも呼ばれる。
ヨーロッパ、西アジアおよび北西アフリカ原産であるが、世界中に移入されている。以下の7変種が知られており、変種毎に分布も変わる。日本にはシロツメクサと共に牧草として明治以降移入されたようである。
多年生の草本で、大きさは株により 20-80cm とまちまちであり個体変異が大きい。互生する葉は3枚の葉片から構成されるいわゆる三つ葉で、葉片3枚をあわせた径は 15-30 mm であり、葉片1枚の幅は 8-15mm である。各葉片には葉の中ほどに特徴的な三日月型の白い模様が入る。葉柄は長さ 1-4cm で2本の托葉を備える。
花は鞠状の集合花序をなし、その径は 2-3cm である。花色は黒みがかったピンクで、基部ほど色が薄くなる。稀に白花を咲かせる株もあり、この変異が固定された園芸種をセッカツメクサ(雪華詰草)またはシロバナアカツメクサ(白花赤詰草) Trifolium pratense f. albiflorum とも呼ぶ。
牧草や家畜飼料として広く栽培されている。土壌を肥沃にする空中窒素固定作用も評価されており、それゆえ緑肥としても利用される。こうした農業用途に用いられる品種にはいくつかあるが、その多くが成長力の旺盛な sativum 種を原種としている。アメリカやオーストラリアなど、多くの温帯域では栽培地から逸出して野生化している。
ハーブとして多用される。とくに本種に含まれるイソフラボン(ゲニスタインとダイドゼン)とエストロゲンは、女性の更年期症状を抑えるのに使用されてきた。ただし、本種を多食した羊が不妊化したといった報告が古くからあるため、妊婦もしくは授乳中の女性は本種の摂取を避けるべきである。
また、咳止めや口内炎の痛み止めに効き、服用すると気管支炎、湿疹、外傷、るいれきに対する治療効果があるとされる。実用的なうがい薬としても使用できるとされている。
本種は8種のハーブを用いたエジアック茶にも、成分の一つとして含まれている。パイプ用ブレンドタバコにも風味付け成分として混入されている。
本種はリンネにより1753年に Trifolium pratense の学名が付与された。種小名の pratense は「牧場に見られる」の意のラテン語である。デンマークの国花に指定されており、またバーモント州の州花にも指定されている。
本稿は英語版 Trifolium pratense 15:28, 11 October 2007 を元にその他資料等を考慮し作成された。以下は英語版に記されていた参考文献。