アンズタケ(杏茸、学名:Cantharellus cibarius)はヒダナシタケ目アンズタケ科アンズタケ属の小型〜中型の菌根性の食用きのこ。アンズ(アプリコット)の香りを持つことからアンズタケと呼ばれる。この香りは乾燥させると強くなる。地方名にミカンタケなどがある。ただし、この仲間のきのこは肉眼では見分けがつきにくく、同属の何種かがアンズタケと総称されている場合が多い。
日本では1908年に川村清一により初めて報告されたが、これまで詳細な分類学的検討は十分なされていなかった。このため、信州大学の小川和香奈らが日本各地に自生するアンズタケの生体と標本の形態並びに核リボソームDNAを調査したところ、4つのクレードに分かれることが判明した。このうち、狭義のアンズタケを含むクレードは北海道で採取されたサンプルから発見され、川村が報告した「アンズタケ」の特徴に一致するサンプルはインド産の C. applanatus と近縁であること、さらにアメリカ産の C. formosus 及び C. altipes に近縁なクレードが発見された。このため、狭義のアンズタケ以外の三種は未記載種だと考えられている[1]。
夏から秋にかけて各種林内の地上に発生する。群生または散生し、しばしば菌輪を描く。
傘は円形から不正円形で漏斗型、傘径は2〜8cmで、周囲は波打つ。表面は鮮やかな黄色から橙色で粘性は無く平滑。
柄の長さは3〜10cmで傘と同色または傘よりは淡い色、中実で下に向かって細まる。根本は白色の綿毛上菌糸で覆われている。
ひだはいわゆるしわひだで柄に垂生する。しばしば交差、合流、分岐し、連絡脈も多数ある。
肉は緻密で縦に裂ける。
胞子は白色。
日本における知名度は一般に低いが、世界中で食用菌として非常に重宝されている。フランスではジロールと呼ばれるアンズタケの亜種が重要な食菌として扱われている。
アンズのような香りとコショウのようなピリッとした味で、鶏卵、カレー、鶏肉、豚肉、仔牛肉などと良く合い、ピザのトッピングやシチュー、マリネ、フライ、クレープの具などに用いられる。伝統的には鹿肉と合わせて食べられる。他にもアンズタケシャーベットなどのデザートにされることも多々ある。
優秀な食菌だが、猛毒のアマトキシン類と胃腸系の毒性を持つノルカペラチン酸がごく微量だが検出されている。
まセシウム137などの放射性重金属を蓄積しやすい性質があり、チェルノブイリ原発の事故の影響によって放射能汚染された輸入アンズタケが積み戻し処分になった事例もある。
福島第一原子力発電所以後の東日本においても放射性物質が検出されており、2017年現在、山梨県・静岡県で採取されたアンズタケから規制値の100 Bq/kgに近い放射性セシウムが検出されている。厚生労働省や県は該当地域での採取・出荷及び摂取の自粛を呼び掛けている[2]。
アンズタケ(杏茸、学名:Cantharellus cibarius)はヒダナシタケ目アンズタケ科アンズタケ属の小型〜中型の菌根性の食用きのこ。アンズ(アプリコット)の香りを持つことからアンズタケと呼ばれる。この香りは乾燥させると強くなる。地方名にミカンタケなどがある。ただし、この仲間のきのこは肉眼では見分けがつきにくく、同属の何種かがアンズタケと総称されている場合が多い。
日本では1908年に川村清一により初めて報告されたが、これまで詳細な分類学的検討は十分なされていなかった。このため、信州大学の小川和香奈らが日本各地に自生するアンズタケの生体と標本の形態並びに核リボソームDNAを調査したところ、4つのクレードに分かれることが判明した。このうち、狭義のアンズタケを含むクレードは北海道で採取されたサンプルから発見され、川村が報告した「アンズタケ」の特徴に一致するサンプルはインド産の C. applanatus と近縁であること、さらにアメリカ産の C. formosus 及び C. altipes に近縁なクレードが発見された。このため、狭義のアンズタケ以外の三種は未記載種だと考えられている。