アマランサス(学名: Amaranthus)はヒユ科ヒユ属(アマランサス属)の植物の総称。アマランスとも。
ギリシャ語の Αμάρανθος(アマラントス、(花が)しおれることがない)が語源である。
アマランサスは紀元前6世紀から栽培されている[1]。アステカ人には「 huauhtli 」と呼ばれ、彼らの主食であり、儀式の食事と飲み物にも加工されるためアステカ宗教(英語版)に欠かせない穀物であった。スペイン人に侵略されて栽培が禁止される以前では、エネルギー消費量の80%を占めていたと考えられている。
アマランサスは、pH、塩分、環境、温度の変化、干ばつに強い丈夫な植物である[2]。遺伝的多様性と環境適応能力に優れている[3]。
観葉植物としても栽培される。花からは赤系の染料(ベタレイン)が採れ、その色はアマランス色(英語版)(●)と呼ばれる。ただし、合成着色料の赤色2号もアマランスと名づけられているが、色が似ているだけで無関係な物質である。
油も作られる。
アマランサスの中でも、ヒモゲイトウ (Amaranthus caudatus) が最も大規模に栽培されている。
古代南米のインカ文明などでは、種子を穀物として食用にしてきた。これはトウモロコシや豆類に匹敵する重要作物であった。19世紀に入るとインドなどでも大規模に栽培されるようになった。日本へは江戸時代に、主に観賞用として伝来した。東北地方では小規模ながら、アカアワなどの名前で食用にも栽培されていた。
中国では、中国語(北京語)で 莧菜(xiàncài、シエンツァイ)、広東語で 莧菜(yin6choi3、インチョイ)、上海語で 米莧 (ミーシ)と呼び、緑色の葉と茎を食用にしている。英語では、一般に chinese spinach(中国のホウレンソウ)などと呼ぶが、オーストラリアでは、広東語を英語風に書いた een choy(イーンチョイ)を野菜としての標準名としている。独特のえぐ味と濃い風味がある。炒めると葉に含まれる色素が油に溶出して、紅色に染まる品種が多いが、赤くならない品種もある。
アフリカの一部では、ホナガイヌビユの葉が食用とされている[4][5]。ジャマイカでは、カラルー(英語版)と呼ばれ、モルディブでもディベヒ語で massaagu と呼ばれ料理に使われる[6]。ほか、インドでも野菜として食され、サンスクリット語で Tanduliya と呼ばれる伝統的なアーユルヴェーダ医学のハーブとして利用されている[7]。葉以外の種子も水で茹でたり、ビスケットにしたり、スナックとしても食用可能である[8]。
ヒユ(莧、A. tricolor)の仲間であるが、形態は多様である。和名に「ケイトウ(鶏頭)」を含む種も多いが、ケイトウ (Celosia argentea) は同科別属である。
ヒユ属の種分化は非常に多様で、雑種も多く、分類は難しい。種の数は分類により約20種 - 約300種と大きな幅がある[17]。近年の研究によると、ヒユ属は3亜属[18]70種[19]に分類できる。
ITISによる42種を挙げる。和名・英名との対応は、別の分類では異なることもある。