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クミン ( Japanese )

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クミン Cuminum cyminum - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-198.jpg
クミン
分類APG III : 植物界 Plantae 階級なし : 被子植物 angiosperms 階級なし : 真正双子葉類 eudicots 階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots 階級なし : キク類 asterids 階級なし : キキョウ類 campanulids : セリ目 Apiales : セリ科 Apiaceae : クミン属 Cuminum : クミン C. cyminum 学名 Cuminum cyminum L. 和名 ウマゼリ 英名 cumin

クミン英語: cumin、学名:Cuminum cyminum)とはエジプトなどを原産とするセリ科の一年草。種子クミン・シードcumin seed)に強い芳香とほろ苦み、辛みがあり、香辛料として用いられる。一般には種子と呼ばれているが、植物学上は果実である[1]

名称[編集]

和名ウマゼリ(馬芹)。漢名は孜然(zīrán)。フランス語ではキュマン (cumin)、オランダ語ではコミン(komijn)、インド亜大陸周辺ではジーラ (जीरा jeera)。

特徴[編集]

地中海沿岸東部原産の一年生または二年生の草本で、高さは20-40cm程度。株全体に毛はなく、葉柄は長さ1cm程度と短く、針形の鞘がある。葉は細長い針型で、2回羽状に全裂する。花は傘形花で直径2-3cm。花弁はピンクまたは白色、長楕円形で、先端がわずかに欠ける。種子は長楕円形で両端が狭く、長さ6mm、幅1.5mm程度、全体が白い剛毛に被われている。花期は4月ごろで、5月ごろに種子ができる。

温暖湿潤な気候と水はけの良い肥沃な土壌を好む。暑さや乾燥を嫌うため、多くの地域では冬の作物として栽培される。最大の輸出国はイランだが、インドからヨーロッパにかけて広い地域で栽培されている。同じ種でも栽培される条件によって香りや形質に違いがある[1][2]

歴史[編集]

最も古くから栽培されているスパイスの一つと言われ、紀元前16世紀の古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス」にも記載されているほか、古王国時代の墓所からは副葬品として発見されている。古代ギリシア古代ローマでは薬用や美容、食卓に備え付ける薬味として用いられていた。新約聖書の時代にはパリサイ人はクミンで十分の一税を物納していた。

中世ヨーロッパでも料理や薬用として用いられたが、家禽類の逃亡を防ぐ、恋人の心変わりを防ぐためにライスシャワーにクミンを混ぜる、事前に匂いをかぐと妊娠しやすくなるなど、迷信まじないと関わりがあった[3]

利用[編集]

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クミン・シード
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粉末に挽いたクミン

種子のクミン・シード(cumin seed)は、南アジア中東中央アジアの料理に香辛料としてよく用いられる。カレー粉にも配合され、カレーに特有の香りとわずかな辛味を与える。 香りの主成分はクミンアルデヒド (cuminaldehyde (H3C)2CHC6H4CHO)。

インド料理には必須のスパイスのひとつで、様々な料理を作る際に、始めに油に香りをつけるためにクミン・シードを油で熱する。ガラムマサラチャツネを作る際にもよく使われる。単独で使うと薬臭く感じられることもあるため、他の香辛料と併用される場合が多い。

トルコ料理ウイグル料理ポーランド料理レバノン料理モロッコ料理スペイン料理でも非常によく用いられる。 メキシコ料理テクス・メクス料理ではチリコンカーンなどに用いられるチリパウダーに配合される。 オランダライデンにはライツェ・カース(Leidse kaas)と呼ばれる、クミンを練りこんで風味を付けたチーズがある。 その他、各国でスープパンケーキピクルスソーセージなどにも用いられる。

薬用としてはインド、ヨーロッパでは健胃薬や駆風薬、利尿剤となると言われている[1]

クミン・シードは外観が同じセリ科の香辛料であるキャラウェイシードやフェンネル(小茴香)と似るので混同しやすい[4]


脚注[編集]

  1. ^ a b c サンティッチ,ブライアント 2010, p. 283.
  2. ^ 武政 1997, pp. 73-75.
  3. ^ フリーマン 2009, pp. 61-62.
  4. ^ クミン/Cuminエスビー食品 スパイス&ハーブ検索 2015年5月9日閲覧

参考文献[編集]

  • マーガレット・B・フリーマン; 遠山茂樹訳 『西洋中世ハーブ事典』 八坂書房、ISBN 9784896949254
  • バーバラ・サンティッチ; ジェフ・ブライアント; 山本紀夫訳 『世界の食用植物文化図鑑』 柊風社、ISBN 9784903530352
  • 武政三男 『スパイス&ハーブ辞典』 文園社、ISBN 4893361015

外部サイト[編集]

 src= ウィキメディア・コモンズには、クミンに関連するメディアおよびカテゴリがあります。  src= ウィキスピーシーズにクミンに関する情報があります。 ハーブ・香辛料
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クミン(英語: cumin、学名:Cuminum cyminum)とはエジプトなどを原産とするセリ科の一年草。種子(クミン・シード、cumin seed)に強い芳香とほろ苦み、辛みがあり、香辛料として用いられる。一般には種子と呼ばれているが、植物学上は果実である。

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