カワビシャ科(学名:Pentacerotidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群の一つ。2亜科に分割され、カワビシャ・テングダイなど7属13種が含まれる[1]。
カワビシャ科はインド洋・西部太平洋および大西洋南西部に分布する海水魚のグループで、温暖な海の岩礁域に生息する[1]。日本近海からは少なくとも4属4種が知られている[2][3]。海底付近を遊泳する肉食性の魚類で、分布水深はやや深く、水深40-400mの範囲で暮らす種類が多い。オーストラリアでは「boarfish」と呼ばれるほか[1]、各地で食用として利用される。
カワビシャ科の魚類は左右に平べったく、著しく側扁した体型をもつ[1]。体高は一般に高く、特に高いツボダイ属から、やや高めの Pentaceropsis 属までさまざま[1]。頭部が露出した骨に覆われることが大きな特徴で[1]、英名の「Armorhead」の由来となっている。
背鰭は1つで、4-15本の棘条と8-29本の軟条で構成される[1]。臀鰭の棘条は2-5本、軟条は6-17本[1]。腹鰭は大きく、1棘5軟条[1]。背鰭・臀鰭・腹鰭の棘条は非常に強く発達している[3]。鱗は櫛鱗で、小さいが頑強である[3]。上主上顎骨を欠き、椎骨は24-27個[1]。
カワビシャ科にはNelson(2016)の体系において、2亜科7属13種が認められている[1]。
カワビシャ亜科 Histiopterinae は6属7種からなる。背鰭棘条部の基底は軟条部よりも短いかやや長く、鋤骨の歯を欠く[4]。Paristiopterus および Pentaceropsis の2属は、以前は独立の亜科 Paristiopterinae として扱われていた[4]。
ツボダイ亜科 Pentacerotinae には1属6種が所属する。背鰭棘条部の基底は軟条部よりもかなり長く、鋤骨に歯をもつ[4]。クサカリツボダイなど3種を、クサカリツボダイ属 Pseudopentaceros とする見解もある[2]。