この項目では、
梅について説明しています。
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植物以外の「うめ」・「梅」については「うめ」をご覧ください。
ウメ
ウメの花(白梅)
分類 界 :
植物界 Plantae 門 :
被子植物門 Magnoliophyta 綱 :
双子葉植物綱 Magnoliopsida 目 :
バラ目 Rosales 科 :
バラ科 Rosaceae 属 :
サクラ属 Prunus 種 :
ウメ P. mume 学名 Prunus mume (
Sieb.) Sieb. et Zucc.
和名 ウメ(梅) 英名 Japanese apricot
[1] ウメ(梅、学名:Prunus mume、英: Japanese apricot[1])は、バラ科サクラ属の落葉高木、またはその果実のこと。花芽はモモと異なり、一節につき1個となるため、モモに比べ、開花時の華やかな印象は薄い。毎年2月から4月に5枚の花弁のある1センチメートルから3センチメートルほどの花を葉に先立って咲かせる。花の色は白、またはピンクから赤。葉は互生で先がとがった卵形で、周囲が鋸歯状。樹木全体と花は主に鑑賞用、実は食用とされ、枝や樹皮は染色に使われる。
梅には500種以上の品種があるといわれている。近縁のアンズ、スモモと複雑に交雑しているため、主に花梅について園芸上は諸説の分類がある。実梅も同じ種であるので同様に分類できるが[2]、実梅の分類は一般には用いられない[3]。梅は、野梅系、緋梅(紅梅[4])系、豊後系に大きく3系統に分類できる[5]。
果実は、2センチメートルから3センチメートルのほぼ球形の核果で、実の片側に浅い溝がある。6月頃に黄色く熟す。七十二候の芒種末候には「梅子黄」(梅の実が黄ばんで熟す)とある。特定の地域のみで栽培される地方品種が多く、国内どこでも入手可能な品種は比較的限定される。また、品種によっては花粉が無かったり自家受粉しなかったりする品種もあり、その場合は開花時期が重なるように授粉用の品種も必要となる。
栄養・薬効と毒性[編集]
うめ 生
[6] 100 gあたりの栄養価
エネルギー 食物繊維 ビタミン ビタミンA相当量
チアミン (B
1)
リボフラビン (B
2)
ナイアシン (B
3)
パントテン酸 (B
5)
ビタミンB6 葉酸 (B
9)
ビタミンC ビタミンE ミネラル ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 鉄分 亜鉛 銅 他の成分
水分 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 ビオチン (B
7 ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した
[7]。未熟果(青梅)。廃棄部位:核 マイクログラム • mg =
ミリグラム IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人
栄養摂取目標 (RDI) の割合。
果実を梅干し、梅酒、梅酢、梅醤やジャムなどにして食用とする。また甘露梅やのし梅などの菓子や、梅肉煮などの料理にも用いられる。強い酸味が特徴であり、クエン酸をはじめとする有機酸などを多く含むので健康食品としても販売されている。果実から種を取り出すための専用器具も販売されている。 果実の中心にあり、果肉を食べた後に残る種核は、後述する菅原道真信仰との関連で「天神様」と呼ばれる。これは硬いが、食用にでき[8]、梅茶漬けにアクセントとして添えるといった利用法がある。
中国では紀元前から酸味料として用いられており、塩とともに最古の調味料だとされている。日本語でも使われるよい味加減や調整を意味する単語「塩梅(あんばい)」とは、元々はウメと塩による味付けがうまくいったことを示した言葉である。また、話梅(広東語: ワームイ)と呼ばれる干して甘味を付けた梅が菓子として売られており、近年では日本にも広まっている。
さらに漢方薬の「烏梅」(うばい)は、藁や草を燃やす煙で真っ黒に燻したウメの実である。健胃、整腸、駆虫、止血、強心作用があるとされるほか、「グラム陽性菌、グラム陰性の腸内細菌、各種真菌に対し試験管内で顕著な抑制効果あり」との報告がある[9]。
なお、サッポロ飲料株式会社と近畿大学生物理工学部、和歌山県工業技術センターの共同研究で、梅の果実成分による疲労軽減効果が実証されている[10]。
6カ月の梅酒飲用で、HDLコレステロールが有意に増加し、動脈硬化指数が有意に低下し、血圧が低下傾向となり、血糖値は変化が認められなかった、との報告がある[11]。
青梅には青酸が含まれているので、「食べると死ぬ」という警告が知られている[12]。実際に、バラ科植物の葉や未熟な果実や種子には、青酸配糖体(アミグダリン、プルナシン)が含まれており、これは、未熟な種子や腸内細菌が持つ酵素の作用でシアンが生成することがある。これをヒトが食べた場合は、胃酸により有毒性を発揮する恐れがあり、痙攣や呼吸困難、さらには、麻痺状態になって死亡するといわれている。
ただし、胃酸や胃の消化酵素だけでは、シアンの生成は起こらない。中毒の危険は、大量の未熟な種子を噛み砕いて、その酵素を併せて摂取した特殊なケース(アンズの種子を大量に食べたことによる重症例がある)に限られる。よって、幼児などが青梅の果肉を囓った程度では、ほぼ心配ないとされている。また、梅酒の青い実や梅干しの種の中身などは、アルコールや塩分、天日干しの熱により酵素が失活し、毒性は低下している。
これらとは別に、過敏症、アレルギーの症状が、複数報告されている[9]。
日本における作付けと収穫[編集]
農林水産省が2014年11月25日に公表した統計によると、
- 全国結果樹面積:16,200ha
- 全国の収穫量:111,400t
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和歌山県の収穫量:71,400t
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群馬県の収穫量:5,400t
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奈良県の収穫量:2,750t
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長野県の収穫量:2,190t
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三重県の収穫量:1,870t
農林水産省の平成24年産特産果樹生産動態等調査によると、
- 南高の栽培面積:5,633ha
- 白加賀の栽培面積:2,307ha
- 竜峡小梅の栽培面積:511ha
- 小粒南高の栽培面積:393ha
- 豊後の栽培面積:361ha
- 鴬宿の栽培面積:359ha
- 日本の主な産地(作況調査市町村別データ長期累年一覧による)
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群馬県 - 収穫量国内2位。東日本最大の産地で、全国の5 - 6%を占める。品種は「白加賀」が中心で、小梅も作られる。知名度を高めるべく、ブランド化の動きが活発である[13]。
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神奈川県 - 収穫量国内上位。古くから小田原は梅の産地として知られ、曽我梅林は梅採取用の農林にもなっている。
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福井県 - 日本海側最大の産地で収穫量国内上位。天保年間以来という、国内屈指の歴史の古い産地であり、「紅映」(べにさし)という品種が知られる[14]。
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長野県 - 収穫量国内上位。竜峡小梅の栽培が盛ん。
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三重県 - 収穫量国内上位。かつて梅栽培はそれほど盛んではなかったが、1990年代後半からミカンからの転作作物として、温暖多雨で梅栽培に適していた東紀州地方を中心に広まった。隔年統計の県では最も収穫量が多く、梅栽培の先駆的地域である和歌山県や奈良県からの入植者もいるなど、地の利を生かしている[15]。
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奈良県 - 収穫量国内上位。奈良三大梅林の一つ、西吉野の賀名生梅林や下市の広橋梅林は採取用の農林でもあり、県内産の大半を占める[16]。
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和歌山県 - 収穫量国内1位。「紀州南高梅」として高いブランド力を持ち、国内全収穫量の65%を占める[17]。また、主要産地のみなべ町と田辺市で県内生産量の7割強を占める[18]。みなべ町では「紀州みなべの南高梅」を、印南町、みなべ町、田辺市と西牟婁郡(白浜町日置川地区、上富田町など)では「紀州梅干」を地域団体商標に登録している。その他、紀北の紀の川市やかつらぎ町、田辺市龍神村地区などでも梅作りが行われるなど産地は県全域に分布する。主な品種は「南高」で、稀少品種ながら梅酒用の需要が高い「古城」も特産品として知られる。
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徳島県 - 収穫量5 - 7位。神山町では「鶯宿」種を梅干しに加工し、神山ルビィという名称でブランド販売している。
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大分県 - 大山町はかつて「梅栗運動」によって県挙げての一村一品運動や町おこし運動の発端となった町である。
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- 病害虫 - プラムポックスウイルス
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2009年に東京都青梅市のウメがプラムポックスウイルスという植物ウイルスに感染していることが判明した。人体に害はないが、梅の葉や果実に斑紋などの症状が出て商品価値がなくなってしまうため、感染したウメの木は焼却処分にする他に手だてがない。プラムポックスウイルスに感染した梅の盆栽が関東地方から出荷されており、2010年に滋賀県の長浜市で発見され焼却処分されている[19]。ウメ以外にモモ、スモモ、アンズ、アーモンドなどのバラ科の果樹にも感染するとされており、十分な注意が必要である。
主な品種[編集]
大梅・中梅[編集]
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南高梅(なんこううめ)
- 現在の国内梅栽培の中心品種。1902年に和歌山県日高郡上南部村(現在のみなべ町)の高田貞楠が発見。1954年に和歌山県旧南部川村の「梅優良母樹調査選定委員会」で優良品種の1つに選抜。1965年に種苗名称登録。花は白の一重、果実重25~35g、陽光面があざやかに紅となる。果肉が厚くて柔らかく、さらに種が小さいため梅干しに最適である。自家不和合性のため受粉樹が必要。「小粒南高」「甲州最小(甲州小梅・白王)」「改良内田」が受粉樹として用いられることが多い。
- 小粒南高(こつぶなんこう)
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南高梅の小粒品種。来歴は不明だが、S遺伝子型の片方が南高と一致し[20]、さらにSSR遺伝子も南高と同じものが多いため[21][22]、南高を種子親とする自然交雑実生の優良系統であると推測される。花は白の一重、果実重16~25g。南高梅の受粉樹として使用可能で、さらに実の品質は南高梅と同等とされ同時収穫・出荷が慣習的に認められているため受粉樹としての使い勝手がよく、南高梅の栽培園地に混植されることが多い。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- パープル南高(ぱーぷるなんこう)
- 南高梅の枝変わり。2002年に和歌山県田辺市稲成町の中田繁と同市上芳養の畑谷健次により発見。2012年8月に品種登録された。木の性質などは南高梅と同じだが、果実の表面が紅紫色で、梅酒や梅シロップに加工するとエキスがピンク色になる。自家不和合性のため受粉樹が必要。育成者権をJA紀南が保持しているため、苗木の供給はJA紀南管内に限られ、栽培にはJA紀南との契約が必要である。また、「パープル南高」の商標権もJA紀南が保持している。
- 白加賀(しろかが)
- 俗称(しらかが)[23]。加賀藩邸に植えられていた白梅、通称「加賀の白梅」が後に「白加賀」と呼ばれるようになったという説があるが、実話かどうかは定かではない。江戸時代から関東地方を中心に栽培され、現在でも南高に次ぐ国内梅栽培の主要品種の一つである。耐病性は強いが、貧産性であり、さらに収量の年次変動が激しい。ヤニ果発生率が高く梅干し加工には向かない[24]。そのため、他品種に置き換えが進んでいる。花は白の一重、果実重25~30g。雄性不稔性のため受粉樹が必要であり、また他品種の受粉樹には使えない。「梅郷」・「八郎」などが受粉樹として適する。甲州最小や竜峡小梅などの小梅類を受粉樹として推奨している文献も多いが、開花の早い小梅と開花の遅い白加賀では花の時期が合わないことが多く、結実不良になりやすい。
- 豊後(ぶんご)
- 梅とアンズの交雑種。豊後国(現在の大分県)が原産地だが、耐寒性が強いので東北地方などの寒冷地で栽培が多い。耐病性は弱く、また果肉の繊維が多くて粗いため加工品の品質はあまり良くない[25]。花は淡紅、白の一重、八重など系統により異なる。果実重40~70g。自家不和合性のため受粉樹が必要。また、雄性不稔性のため他品種の受粉樹には使えない。他の主要品種に比べ開花時期が遅いため受粉樹もその時期に合うものが必要。「豊後梅」の名は、豊後を親として品種改良された豊後系品種の総称としても用いられる。豊後系品種の中には自家和合性や稔性を持つものもある。
- 鴬宿(おうしゅく)
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徳島県の主要品種。豊産性だが、ヤニ果の発生が極めて多いため梅干し加工には向かず、梅酒・梅ジュース向けのの青梅専用品種である。花は淡紅の一重、果実重25~40g。。花梅の鴬宿とは異なる品種である。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- 古城梅(ごじろうめ)
- 別名「青いダイヤ」。大正時代後期、和歌山県田辺市長野の那須政右ヱ門により発見される。身が固く、梅酒や梅シロップなどに漬け込んだ際に身崩れしにくくエキスがよく出るため、梅酒用として根強い需要がある。原木系と白加賀系の2種類の系統が栽培されている。いずれの系統も栽培が難しいため、近年は栽培面積は減少し続けている。雄性不稔性のため受粉樹が必要であり、また他品種の受粉樹には使えない。
- 改良内田(かいりょううちだ)
- 病害虫に強く、樹勢も強い豊産性の品種。南高梅と受粉樹としての相性がいいため混植されることが多い。生理落果が多い。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- 地蔵梅(じぞううめ)
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みなべ町在来種。深根性で乾燥に強い品種。耐病性が強く、自家受粉遺伝子を持っているため、新品種の育種親に用いられることが多い。「加賀地蔵」・「八郎」・「橙高」・「星高」は地蔵梅を親とする新品種群である。
- 加賀地蔵(かがじぞう)
- 白加賀と地蔵梅の交雑種。自家不和合性のため受粉樹が必要。また、雄性不稔性のため他品種の受粉樹には使えない。
- 剣先(けんさき)
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福井県の主要品種。梅酒用に適している。自家受粉する。
- NK14(えぬけーじゅうよん)
- 南高梅と剣先の交雑種。和歌山県果樹試験場で育成される。2009年品種登録。梅酒および梅干しに適する。自家受粉し豊産性である。南高梅よりやや小粒。苗木の供給は和歌山県内に限定されている。
- 橙高(とうこう)
- 南高梅と地蔵梅の交雑種。和歌山県果樹試験場で育成される。2009年品種登録。完熟すると果肉がオレンジ色になる。βカロテンを多く含み、梅ジャムなどでの加工利用が模索されている。自家受粉する。苗木の供給は和歌山県内に限定されている。
- ミスなでしこ(みすなでしこ)
- 別名「紫宝梅」。南高梅とパープルクイーンの交雑種。果実の表面が紫色。パープル南高よりやや小粒。自家受粉する。
- 八郎(はちろう)
- 地蔵梅の自然交雑実生から選抜された品種。農研機構果樹研究所が育成。2000年品種登録。自家受粉し豊産性のため栽培しやすい。果実はやや小玉で梅干しに適する。また開花時期が遅いため、白加賀や古城梅の受粉樹にも相性が良い。
- 翠香(すいこう)
- 月世界と梅郷の交雑種。農研機構果樹研究所が育成。2009年品種登録。漬けた時の香りが強く、梅酒や梅シロップに適する。ヤニ果発生率が高いので、梅干しには向かない。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- 熊野仁(くまのじん)
- 南高梅を種子親とする自然交雑実生の中から選抜された品種。田辺市秋津川の花光重一郎が育成。2014年品種登録。果実の大きさは南高梅と同程度で、収穫が7日~10日程度早く、耐病性も強い。自家受粉する。梅酒・ジュース・梅干しのいずれにも向く。
- 星高(せいこう)
- 南高と地蔵梅の交雑種。和歌山県が育成。品種登録申請中。黒星病に抵抗性を有する。南高梅よりも開花時期および収穫時期が1週間程度遅く、やや小玉である。自家受粉する。苗木は全国に流通予定。
- 竜峡小梅(りゅうきょうこうめ)
- 花は白の一重、果実重6~8g。核が小さく、果実は円形に近い。自家受粉する。長野県の選抜品種、信濃小梅1号の名称登録(第116号)名。耐病性が極めて弱い。
- 甲州最小(こうしゅうさいしょう)
- 花は白の一重、果実重5~7g。自家受粉する。甲州の名が付いているが、発見地は山梨県ではなく奈良市。大正14年に発表された。甲州は小梅であること(当時の山梨は小梅の産地として有名であった)、最小は最も小さいことを表している。
- 織姫(おりひめ)
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群馬県の小梅主要品種。果実重7~10g。収穫時期が甲州最小よりも早い極早生品種。小梅の中では大玉系の品種である。耐病性が極めて強い。自家受粉する。
- 白王(はくおう)
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和歌山県田辺市で甲州最小から良系統が選抜された品種。梅干しやカリカリ梅に適する。南高梅の受粉樹としても相性が良い。自家受粉する。
- 紅王(べにおう)
- 果実が熟すと黄色と紅に色づき見栄えが良い。日の丸弁当の梅干しなどに利用される。樹勢は弱い。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- 衣笠(きぬがさ)
- 果皮が固く、漬けても破れにくいため梅干しに適する。果頂部が尖っている。自家受粉する。
- パープルクィーン(ぱーぷるくいーん)
- 白王の枝変わり。和歌山県田辺市中三栖の廣畑治により発見される。1996年品種登録。果実全体が紫色に色づき、梅酒や梅シロップとして漬け込むとエキスがピンク色になる。自家受粉する。「パープルクィーン」の商標権をJA紀南が保持する。
スモモウメ[編集]
- 李梅(すももうめ)
- ニホンスモモとウメの自然種間雑種で、大実の果肉色が鮮明な赤色である[26]。
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和歌山県日高郡南部町(現在のみなべ町)にて、大正13年から結実していたものが、昭和2年に発見された。静岡県浜松市内で李梅(りばい)と呼んで産地化に取り組んでいる[27]。自家不和合性のため受粉樹が必要。また、雄性不稔性のため他品種の受粉樹には使えない。
- 露茜(つゆあかね)
- ニホンスモモ「笠原巴旦杏」と養青梅の種間雑種。梅酒や梅シロップにすると紅色のエキスが出る。樹勢は弱い。自家不和合性のため受粉樹が必要。受粉樹にはスモモは使えず、梅もしくはアンズの受粉樹が必要。ただし開花がかなり遅いので、開花時期の適合する梅品種は少なく、受粉樹にはアンズ品種のニコニコットやおひさまコットが推奨されている。雄性不稔性のため他品種の受粉樹には使えない。
- 紅の舞(べにのまい)
- スモモ「筑波2号」と鶯宿の種間雑種。群馬県農業技術センターが1994年に育成。平成19年3月に品種登録。梅酒や梅シロップにすると紅色のエキスが出る。自家不和合性のため受粉樹が必要。
- 美人梅(びじんうめ)
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フランスで、赤葉のミロバランスモモと杏梅との交配により作られた品種。
- 葉、花、実が、紫紅の八重咲きで、果実重50~60g。−20℃にも耐える耐寒性がある。アメリカ、中国を経て導入された[28][29]。
染色への利用[編集]
枝や樹皮、樹皮に付くウメノキゴケは、煮出すなどして布を染めるのに使われる。この梅染の起源は飛鳥時代に遡ると考えられ、加賀友禅の源流になった[30]。月ヶ瀬梅林がある奈良市月ヶ瀬地区では、烏梅と紅花を組み合わせた染色が行われている[31]。
日本における梅の文化[編集]
別名に好文木(こうぶんぼく)、春告草(はるつげぐさ)、木の花(このはな)、初名草(はつなぐさ)、香散見草(かざみぐさ)、風待草(かぜまちぐさ)、匂草(においぐさ)などがある。
花を扱う歌は以下である[32]。そしてウメは古里(ふるさと=奈良平城京)の静かな美しさと文化的郷愁の花となり[33]、和歌や能に取り上げられることになる[34]。
天文14年(1545年)4月17日に後奈良天皇が、京都の賀茂神社に梅を奉納したと『御湯殿上日記』にあることに因み、「紀州梅の会」が新暦の6月6日を梅の日に定めている[35][36]。また、古来より梅の名所として「梅は岡本、桜は吉野、みかん紀の国、栗丹波」と唄われた岡本梅林(兵庫県神戸市東灘区岡本)は、起源は明確ではないが山本梅崖の『岡本梅林記』に羽柴秀吉の来訪が記されており、寛政10年(1798年)には摂津名所図会に岡本梅林の図が登場するほどの名所であった[37][38]。
平安時代の政治家・碩学であった菅原道真は梅をこよなく愛した。道真は死後に天満大自在天神(天神)として神格化され、梅はそのシンボルとみなされて、飛梅伝説(後述)などを生んだ。このほか、江戸時代の禅僧で禅画を多く描いた白隠の代表作の一つ「渡唐天神図」には、「唐衣(からころも)おらで北野の神ぞとは そでに持ちたる梅にても知れ」(意訳:これが天衣無縫の唐衣を着た北野天満宮の神であることを、彼が袖に持っている梅によっても知りなさい)の賛が残されている(古くは『菅神入宋授衣記』にほぼ同様の和歌が記載されている)[39]。
庭木や盆栽などにも用いられ、鑑賞される。
俳句では梅は春の季語である[40]が、「早梅」「寒梅」や「探梅(たんばい、うめさぐる)」は冬の季語[41][42]。
「ウメ」の語源には諸説ある。一つは中国語の「梅」(マイあるいはメイ)[43]の転という説で、伝来当時の日本人は、鼻音の前に軽い鼻音を重ねていた(東北方言などにその名残りがある)ため、me を /mme/(ンメ)のように発音していた。馬を(ンマ)と発音していたのと同じ。これが「ムメ」のように表記され、さらに読まれることで /mume/ となり /ume/ へと転訛した、というものである。上記のように「ンメ」のように発音する方言もまた残っている。
梅紋(うめもん)は、ウメの花を図案化した日本の家紋である。その一種で「梅鉢(うめばち)」と呼ばれるものは、中心から放射線状に配置した花弁が太鼓の撥に似ていることに由来している。奈良時代に文様として用いられ始め、菅原道真が梅の花を好んだことにより天満宮の神紋として用いられ始めたと考えられている。
「梅」は、太宰府天満宮、「星梅鉢」は北野天満宮が用いている。武家では、菅原氏の末裔や美濃斉藤氏の一族が菅原天神信仰に基づいて用いた。おもに、加賀前田氏の「加賀梅鉢」や相良氏の「相良梅鉢」などがある。また、天理教の紋が「梅鉢紋」であるのは、教祖・中山みきの中山家の家紋に由来する。
図案は、「梅(うめ)」、「梅鉢(うめばち)」、「捻じ梅(ねじうめ)」、「実梅鉢(みうめばち)」などがある。「匂い梅(においうめ)」や「向う梅(むこううめ)」などの写実的な図案の梅花紋と、「梅鉢」などの簡略的な図案の梅鉢紋に大別される。
梅にまつわる言葉[編集]
ウィキクォートに
梅に関する引用句集があります。
- 「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」
- 春先に咲く代表的な花である桜と梅のふたつを対比しつつ、栽培上の注意を示したもの。桜はむやみに伐ると切り口から腐敗しがちであり、剪定には注意が必要。一方、梅の樹は剪定に強く、むしろかなり切り詰めないと徒枝が伸びて樹形が雑然となって台無しになるばかりでなく、実の付き方も悪くなる。花芽は年々枝先へと移動する結果、実が付く枝は通常数年で枯れ込んでしまう。実の収穫を目的とするのであれば、定期的に枝の更新を図る必要があるからである。
- 「東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」
- 菅原道真が大宰府に左遷される時、道真の愛した庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌。後に庭の梅木が道真を追って大宰府に飛んできた、という「飛梅伝説」がある。
- 「桃栗三年、柿八年、柚(ゆず)の馬鹿野郎十八年、梅はすいすい十六年」
- 種を植えてから実を収穫できるまでの期間を指す俚謡。本来は「桃栗三年柿八年」で一つの諺。「物事は簡単にうまくいくものではなく、一人前になるには地道な努力と忍耐が必要だ」という教訓である。
- 「梅の木学問」
- 『広辞苑』では「梅の木が成長は速いが大木にならないように、進み方は速いが学問を大成させないままで終わること」である。反対は「楠学問」で「クスノキが成長は遅いが大木になるように、進み方はゆっくりであるが学問を大成させること」。
- 「梅と桜」
- 美しい物が並んでいること[44]
- 「梅に鶯」
- とりあわせの良いこと
- 「梅の木分限」
- 実を付けるのが早いが大木がないことから、なりあがりのこと。反対は「楠分限」[44]
- 「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」
- 生梅の核に毒のあること[44]
- 「塩梅」(あんばい、えんばい)
- 料理の味加減から、ものごとのかげん[44]。
梅を題材とした文学[編集]
- 『萬葉集』
- わが背子に見せむと思ひし梅の花それとも見えず雪の振れれば 山部赤人[45]
- 『古今和歌集』
- 君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞしる 紀友則[46]
- 『新古今和歌集』
- 大空は梅のにほひにかすみつつ曇りも果てぬ春の夜の月 藤原定家[47]
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近世の俳句
- るすにきて梅さへよそのかきほかな 松尾芭蕉[48]
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明治時代の俳句・短歌
- 梅を見て野を見て行きぬ草加迄 正岡子規[49]
- しら梅は袖に湯の香は下のきぬにかりそめながら君さらばさらば 与謝野晶子[50]
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明治天皇御製
- 桜について梅の御製(天皇の短歌)が多い。「かずしれず実をむすびたる梅が枝のわかばおもげにつゆぞおきける」[51]
日本の梅の名所[編集]
北海道・関東地方[編集]
中部地方[編集]
近畿地方[編集]
四国・九州地方[編集]
- 阿川梅の里(徳島県名西郡神山町)- 30ヘクタールの敷地に16,000本の鶯宿梅の梅林。
- 牛尾梅林(佐賀県小城市)- 広さ22ヘクタールの面積に約13,000本の梅林。由来は不明だが江戸末期から梅の名所として知られる。
- 伊万里梅園(佐賀県伊万里市)- 栽培用。25ヘクタールに6,500本。1993年栽培開始と歴史は浅い。
その他、長浜盆梅展(滋賀県長浜市)、平城京旧跡(奈良県)。大野下水処理場(大阪市西淀川区)枚岡神社(東大阪市)
梅関連の施設・行事[編集]
梅をシンボルとする国・地域[編集]
- 県花(県木)
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- 市花(町花・村花)・市木(町木・村木)
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- 日本国外
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[
ヘルプ]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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