Testudo imbricata Linnaeus, 1766
和名 タイマイ 英名 Hawksbill turtleタイマイ(玳瑁[1]、瑇瑁[1]、Eretmochelys imbricata)は、ウミガメ科タイマイ属に分類されるカメ。本種のみでタイマイ属を構成する。
主要な繁殖地としてインドネシア、セーシェル、モルディブ、西インド諸島などがある[2]。日本は最北の繁殖地で[3]、石垣島や黒島などで少数産卵する[a 3]。
甲長53-114センチメートル[3]。体重30-70キログラム[2]。椎甲板や肋甲板の後部が、その後ろにある甲板の前部と重なる[2][3][a 3]。肋甲板は左右に4枚ずつ[a 3]。縁甲板の後縁は鋸状に尖る[2][a 3]。背甲の色彩は黄色で、黒褐色の斑紋が入る[2]。これにより海中のサンゴに擬態していると考えられている[2]。腹甲の色彩は黄色[2]。
頭部は細長く、吻端が尖る[a 3]。前額板は4枚(2枚ずつ)。顎を覆う角質(嘴)が発達する[3]。頭部や四肢の背面は黄色く縁取られた黒褐色の鱗で覆われ、腹面は黄色[2]。
卵は直径3.5センチメートル[2]。
熱帯や亜熱帯にあるサンゴ礁が発達した海洋に生息する[2][a 3]。外洋を回遊することはまれ[3]。
食性は動物食で、主にカイメンを食べるが[2]、軟らかいサンゴや甲殻類、棘皮動物、藻類なども食べる[3][a 3]。サンゴの死骸は嘴や前肢で取り除き、嘴を使い岩やサンゴの隙間にいる獲物を啄ばむ[2][3]。
繁殖形態は卵生。周年繁殖する[2]。砂浜に20-30センチメートルの深さの穴を掘り、1回に96-200個の卵を産む[2][a 3]。卵は2か月で孵化する[a 3]。
卵は食用とされることもある[2]。食性から肉に毒が含まれることもあり、食べた人が中毒死した例もある[2][4]。なお、解毒剤は存在しない[4]。
日本では甲板が鼈甲細工(べっこうざいく)の原料とされた[2][3]。
開発による生息地の破壊、漁業による混獲、甲板や食用の乱獲などにより生息数は激減している[2][a 3]。日本は世界各地から大量に本種の甲板を輸入し、1975年にワシントン条約が発効してからも本種の甲板の輸入を続けていた[2]。しかし国際社会からの批判が大きく、1993年に本種の甲板の輸入は禁止された[2]。
2013年6月に奄美大島において、アカウミガメとタイマイの特徴を併せ持つ交雑種が産卵していることが、NPO法人・日本ウミガメ協議会によって確認された。同協議会では、種の保全が脅かされる危険性があるとして、今後子ガメの種の確認を実施したいとしている[5]。