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カワガラス ( Giaponèis )

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カワガラス 渓流の岩に留まるカワガラス
カワガラス Cinclus pallasii pallasii
保全状況評価[1] LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 LC.svg 分類 : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata : 鳥綱 Aves : スズメ目Passeriformes : カワガラス科 Cinclidae : カワガラス属 Cinclus : カワガラス C. pallasii 学名 Cinclus pallasii
Temminck, 1820[2] 和名 カワガラス 英名 Brown Dipper[3] 亜種 Cinclus pallasii distr01.png
分布域

カワガラス(河烏[4][5]、川鴉、学名Cinclus pallasii Temminck, 1820)は、スズメ目カワガラス科カワガラス属分類される鳥類の一[2][6]

南北アメリカ大陸(新北区新熱帯区)に分布するメキシコカワガラスの近縁種。

分布[編集]

ヒマラヤ北部からインドシナ半島北部、中国台湾サハリン日本カムチャツカ半島に分布する[7]。生息地では、基本的には留鳥である。

日本では、北海道本州四国九州屋久島にかけて広く分布する[4]。留鳥として、河川の上流から中流域にかけてと山地渓流に生息する[7][4]

形態[編集]

全長は21-23 cm翼開長は約32 cm[4][8]、体重65-90 gヒヨドリツグミより少し小さい。全身が濃い茶色(チョコレート色[5]、光の具合により赤茶色に見えることもある[8]。)の羽毛におおわれているのが名前の由来だが、カラスの仲間ではない[注釈 1]。尾羽は短めで黒味の強い焦茶色[8]。目は茶色で、目を閉じると白いまぶたが目立つ[8]。雌雄同色[7][5]くちばしは黒く[5]、足は灰色でがっちりしている。ミソサザイを大きくしたような体形で、短めの尾羽を立てた独特の姿勢をとる[4]。幼鳥は喉から腹にかけて白くて細かいうろこ模様がある。

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    後姿と尾羽

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    を広げて目を閉じた様子(白いまぶた

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    うろこ模様がある幼鳥

生態[編集]

平地から亜高山帯の川の上流から中流の岩石の多い沢に生息する。冬期(積雪期)には下流側に生息場所を移動することもある。一年中、単独(非繁殖期は単独で行動している[9])もしくは番いで行動し群れを形成することはない。つがい形成期には、一夫二妻行動をとることがある[10]。ピッピッと鳴きながら、速い羽ばたきで川面の上を一直線に飛翔する[7][4][5]。頑丈な脚で岩をつかみ、水流の圧力を利用して川底を歩きながら水中で捕食を行う[5]。尾羽を上下に動かしたり、風切羽を半開きにしたり、まばたきし白いまぶたを見せながら、石や流木の上で休息する[7]

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    渓流を泳ぐカワガラス

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    水面上を真直ぐに飛ぶ様子

食性[編集]

食性動物食。水に潜ってカゲロウカワゲラなどの幼虫などの水生昆虫カニなどの甲殻類小魚を捕食する[7][4][5]。水面上を泳ぎながら首を水中に入れて覗き込み、頻繁に潜水する[11]。水中では水底を這うように歩き回って川底の餌を探し、『渓流の素潜り名人』と称されることがある[4]。水にもぐっているときは羽毛の間に空気がふくまれるため、全身が銀色にみえる。

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    幼虫をくわえたカワガラス

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    川で小魚を捕えた瞬間

生活史[編集]

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親から雛へ給餌する様子

ほかの鳥にくらべて繁殖を始めるのが早く[7]、12月頃からオスがさえずり縄張り宣言を行う。暖地では1月頃から繁殖を始める[4][5]の裏の岩の隙間にコケや植物の根で半球状のドーム形のをつくる[4][5]。岩の陰やコンクリート護岸の排水口、橋桁[12]などの人工物にも巣を作ることもある[5]。造巣の際の雌雄の貢献度はほぼ等しく分業は行われない[13]。日本では2-6月に1腹4-5個の卵を産む。抱卵日数は15-16日で、雌が抱卵する育雛は雌雄共同で行う[11]。雛は21-23日で巣立つ。雛は飛べない内から、水中を泳いだり歩くことができる。

鳴き声[編集]

オスは12月頃の繁殖期から「ピピピ チュシュ ピッピッ ピュュ」と鳴き始める[7]セグロセキレイ似た濁った声で「チーチージュピチリリ」と複雑に鳴く[4]地鳴きは「ピッ ピッ」[4]

亜種[編集]

本種は以下の亜種に分類されている[2]。日本には亜種カワガラス(学名:Cinclus pallasii pallasii Temminck, 1820)が分布する[2][6]

種の保全状況評価[編集]

国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリスト軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。個体数は安定傾向にある[1]

日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[15]。河川開発が個体数の減少の原因であると見られている[16][17]

人間との関係[編集]

若山牧水により『川鴉(かわがらす) なきすぎゆきぬ たぎつ瀬の たちき輝き流る上を』と詠まれている。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ カワガラスはカラス科には属さず、カワガラス科に属する。
  2. ^ 奈良県のカテゴリー「希少種」は、環境省の準絶滅危惧(NT)相当。

出典[編集]

  1. ^ a b c Cinclus pallasii (Brown Dipper) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). ^ a b c d IOC World Bird List 4.1 (Dippers, Sunbirds, Old World Sparrows)” (英語). 国際鳥類学会議(IOC). ^ Cinclus pallasii Temminck, 1820” (英語). ITIS. ^ a b c d e f g h i j k l 中川 (2010)、174頁
  2. ^ a b c d e f g h i j 真木 (2012)、186頁
  3. ^ a b 日本鳥類目録 改訂第7版”. 日本鳥学会 (2014年2月13日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 叶内 (2006)、460頁
  5. ^ a b c d 高木 (2002)、153頁
  6. ^ 橋口 (1981)、169頁
  7. ^ 澤 (2012)、7-13頁
  8. ^ a b 梓川鳥類生態研究会 (1993)、137頁
  9. ^ 野口 (2012)、19-20頁
  10. ^ 江口 (1990)、141-148頁
  11. ^ シャルル・リュシアン・ボナパルト or en:José Bonaparte
  12. ^ 日本のレッドデータ検索システム「カワガラス」”. (エンビジョン環境保全事務局). ^ a b 岡山県版レッドデータブック2009 (PDF)”. 岡山県. pp. 85 (2014年2月13日閲覧。
  13. ^ a b レッドデータブックやまぐち・カワガラス”. 山口県 (2014年2月13日閲覧。
  14. ^ レッドデータブックあいち2009・カワガラス (PDF)”. 愛知県. pp. 137 (2014年2月13日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

 src= ウィキメディア・コモンズには、カワガラスに関連するメディアおよびカテゴリがあります。  src= ウィキスピーシーズにカワガラスに関する情報があります。

外部リンク[編集]

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