Macaca irus
和名 カニクイザル(蟹食猿) 英名 Crab-eating Macaqueカニクイザル、蟹食猿(Macaca fascicularis)は、哺乳綱霊長目オナガザル科マカク属に分類されるサル。世界の侵略的外来種ワースト100、特定外来生物。
もともとの分布はフィリピンやスマトラ島、ジャワ島などの東南アジアだが、人為的な導入により香港やイリアンジャヤ、パラオ、モーリシャス、サモアなどに定着している[1]。
亜種によっても異なるが、大人の個体で体長38-55cm、尾の長さは40-65cmになる。体重はオスで5-9kg、メスで3-6kg。
カニクイザルは社会性を有する動物で、通常5-60頭の群れを作って生活する。その群れには通常2-5頭のオスが含まれる。群れの大きさは餌の豊富さなどに依存し、群れでのランクは成熟したオスがメスより上位となる。
メスの妊娠期間は167-193日で、子ザルの出生時の体重は約350g。はじめは黒い体毛であるが、数ヶ月の間に生え変わり、最終的に赤茶色の体毛となる。
カニクイザルの食性は雑食で、名前の通りカニも捕食するが、カニのみを餌としているわけではない。植物の果実や種子を主な餌としているが、それ以外にも植物の葉、花、根、小鳥、トカゲ、カエル、魚などさまざまな動植物を捕食している。
カニクイザルは、顎関節の形態などヒトに類似する点が多く、また同一条件での飼育が可能であるため[2]、形態的な研究や投薬研究の際の実験動物として用いられることがある。
前述したように実験動物として用いられることがあるほか、宇宙飛行のテスト動物として宇宙船に搭乗させられる。また、各地で導入、野生化したカニクイザルが農作物に被害を与える事例も発生しており、世界の侵略的外来種ワースト100に選定されている他、日本でも特定外来生物に指定されている[3]。また、カニクイザルはエボラウイルスやサル痘、Bウイルス感染症の媒介者として知られる。