メガネザル(眼鏡猿、学名:familia Tarsiidae、英語名:Tarsier)は、サル目(霊長類)- 直鼻猿亜目- メガネザル科に分類される哺乳類の総称。全種がメガネザル属に属す。
インドネシア、ボルネオ島、フィリピン諸島など、東南アジアの島嶼部に生息する。メガネザルという名称の由来となった大きな眼に大きな耳が特徴である。
体重100グラム程度の小型の霊長類である。体の割に大きな眼を持つ。眼球1つの重さは3グラムと、脳の重さとほぼ同じである。この眼は夜行性に適したもので、暗い所でもよく見ることができるが、逆に昼間はまぶしくて、あまり見えないらしい。この眼球は眼窩の中でほとんど動かすことができないが、代わりに頸(くび)を自在に動かすことができ、頸を180度回転させて真後ろを見ることもできる。これほどまでに大きな眼を持つのは、たいていの夜行性の哺乳類に存在するタペータム(網膜裏側の反射膜)を持たないからである。これは、かつて一時期昼行性となったために不要となったタペータムを失い、その後再び夜行性へと戻った際にそれを再生できなかったためと思われる。そのため、眼を大きくすることで夜間の乏しい光を捉え、夜の闇に適応したと考えられている。
後肢が長く、跳躍が得意で、枝から枝に跳び移ることができる。跳躍の距離は体長の25倍である。手足の指は長く、それぞれの指先には鋭い爪と、肉趾(にくし)と呼ばれる円盤状のふくらみがあり、枝からぶら下がることに役立っている。尾は体より長く、ほとんど毛がない。
メガネザルに属する全種とも夜行性で、樹上で生活している。主に昆虫や小型の脊椎動物を捕食する。群れを作らず、単独で生活する。一年中繁殖可能であり、妊娠期間は約180日、1子を出産する。子供は体毛が生えそろった状態で生まれ、すぐに自力で枝にしがみつくことができる。
メガネザルが霊長類の中で、どの系統に属するのか論争がなされてきた。原始的なサルの特徴を残しているため原猿亜目(キツネザルやロリスが属する)に分類する考えと、頭蓋骨(とうがいこつ)などの特徴から真猿亜目(オマキザルやニホンザル、類人猿が属する)に分類する考えの双方があったのである。両者の中間に位置するとして、独立した「メガネザル亜目(学名:subordo Tarsiiformes)」という分類が提案されることもあった。
近年の分子生物学的な系統解析では真猿類の姉妹群であることを支持する結果が得られており、真猿類とともに直鼻猿亜目に分類されるようになってきた。
種の表記は左から順に、学名、和名(存在するもののみ)、英語名、特記事項。
メガネザル下目 subordo Tarsiiformes
メガネザル(眼鏡猿、学名:familia Tarsiidae、英語名:Tarsier)は、サル目(霊長類)- 直鼻猿亜目- メガネザル科に分類される哺乳類の総称。全種がメガネザル属に属す。
インドネシア、ボルネオ島、フィリピン諸島など、東南アジアの島嶼部に生息する。メガネザルという名称の由来となった大きな眼に大きな耳が特徴である。