キタオットセイ(Callorhinus ursinus)は、ネコ目(食肉目)アシカ科キタオットセイ属に分類される鰭脚類。本種のみでキタオットセイ属を構成する。単にオットセイとも呼ばれる。
アメリカ合衆国西部、ロシア東部の北太平洋、オホーツク海、ベーリング海[1][2][3]
繁殖地としてはコマンドル諸島、千島列島、プリビロフ諸島、サン・ミゲル島、ロベン島などが確認されている[1]。サン・ミゲル島の個体群を除いて、冬季になると越冬のため南下する[1]。
全長213センチメートル[1]。体重オス180-270キログラム[1]。メスよりもオスの方が大型になり、メスは最大全長150センチメートル[2]。最大体重50キログラム[2]。吻端は短く[1]、やや下方へ向かう[2]。全身は細かい下毛で密に被われる[2]。
耳介は小型[2]。
出産直後の幼獣は全長66-69センチメートルで、毛衣は黒い[1]。オスの成獣は頸部の体毛が伸長して鬣状になり[2]、毛衣は黒や暗褐色[1]。幼獣やメスの成獣の毛衣は背面が灰色、腹面が赤褐色[1]。
アシカ科内では600万年前に他種と分岐した種と考えられている[1]。
海洋に生息する。
食性は動物食で、魚類(スケトウダラ、ハダカイワシなど)、イカなどを食べる[1][2]。
繁殖形態は胎生。オスは繁殖地で5月に縄張りを形成し、上陸したメスは出産後に交尾を行う[2]。6-8月に1回に1頭の幼獣を産む[1]。授乳期間は約4週間[1]。オスは生後7年(実際に繁殖を行うのは生後9-15年[1])、メスは生後3-4年で性成熟する[2]。寿命はオスが15年、メスが30年[2]。
過去には毛皮目的の乱獲により生息数が激減し、漁業による競合や混獲などにより生息数の減少が懸念されている[2][3]。1786-1867年はプリビロフ諸島で2,500,000頭、1867-1911年は1,000,000頭以上が狩猟されたと推定されている[1][3]。1892年に国際的に商業目的の捕獲が制限、1910年に海上捕獲やメスの捕獲が禁止、1985年に商業目的の捕獲が禁止されている[2]。