ヒメハマナデシコ(姫浜撫子、Dianthus kiusianus)とは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草。
日本固有種で、本州(和歌山県)、四国(愛媛県)、九州(長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県)及び南西諸島(種子島~徳之島、伊江島、西表島)に分布する。日当たりの良い海岸の砂浜や岩場に生育する。
多年草で、高さ10~30cm。茎は株状で直立し、根茎は木質で地面を這うか斜上する。葉(茎葉)は対生、狭長楕円形~倒披針形で長さ1~3cm、先端は鋭く尖る。根生葉は倒卵状楕円形~へら状長楕円形で、長さ3~5cm、先端は鈍く尖るか円くなる。茎葉・根生葉ともに葉縁に微毛を生やし、表面は光沢のある緑色。花期は4~9月。花は集散花序で、茎の頂端に1~6個付き、花弁は5枚で、苞(ほう)の先が短い針状になる。色は紅紫色。
自生地の開発や園芸用の採集の影響で減少している地域がある。
日本には、ナデシコ属(Dianthus)に属する種が本変種のほかに、3種生育する(ナデシコ#ナデシコ属を参照)が、その中でもハマナデシコ(D. japonicus)は分布域、生育環境が類似し、しばしば混生する。相違点は、ハマナデシコの方が背が高く、花の数が多く密につき、苞の先が尾状になる点である。
生育地である下記の地方公共団体が作成したレッドデータブックに掲載されている。