ワシントン条約附属書I 分類 界 : 動物界 Animalia 門 : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 : 爬虫綱 Reptilia 目 : カメ目 Testudines 亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira 上科 : リクガメ上科 Testudinoidea 科 : リクガメ科 Testudinidae 亜科 : リクガメ亜科 Testudininae 属 : マダガスカルリクガメ属 Astrochelys 種 : ホウシャガメ A. radiata 学名 Astrochelys radiata (Shaw, 1802)[2][3][4] シノニム Testudo radiata Shaw, 1802[2][3]
Testudo coui Daudin, 1802[2][3]
Testudo desertorum
Grandidier, 1869[2][3]
Testudo hypselonata Bourret, 1941[2][3]
Geochelone radiata
Ernst & Barbour, 1989[3]
Geochelone (Astrochelys) radiata
Kuchiling, 1989[3]
ホウシャガメ（Astrochelys radiata）は、爬虫綱カメ目リクガメ科マダガスカルリクガメ属に分類されるカメ。別名マダガスカルホシガメ[4]。
マダガスカル南部固有種[4]。フランス領レユニオン、モーリシャスに移入[4][5]。
最大甲長40センチメートル[4][5]。メスよりもオスの方がやや大型になり、野生個体ではオス28.5 - 39.5センチメートル、メス24.2 - 35.2センチメートル[2][4]。背甲はドーム状に盛りあがり、上から見るとやや細長い[4]。甲板の成長輪は明瞭だが、老齢個体は磨耗し不鮮明になることもある[4]。孵化直後からある甲板（初生甲板）は境目が摩耗して他の甲板と区別できなくなる個体が多く、野生個体では平坦だが飼育個体では隆起することもある[4]。項甲板はやや大型[4]。後部縁甲板は鋸状に尖ってやや反りあがり、左右の第12縁甲板は癒合する[4]。背甲の色彩は黒や暗褐色で、初生甲板の色彩は黄色や橙色[4]。初生甲板の周辺には放射状に黄褐色の筋模様（椎甲板や肋甲板は4 - 12条、縁甲板は1 - 5条）が入る[4]。属名Astrochelysは「星のカメ」、種小名radiataは「放射状の」の意で、種小名は和名や英名と同義で放射状の斑紋に由来すると考えられている[4]。老齢個体では放射状の模様が不明瞭になることもある[4]。左右の喉甲板は癒合せず、やや前方に突出する[4]。腹甲の色彩は黄色や黄褐色で、肛甲板（喉甲板に入る個体もいる）には放射状に暗褐色の斑紋が入る[4]。
頭部は中型[4]。吻端は突出せず、上顎の先端は鉤状に弱く尖る[4]。頭部の色彩は黄色で、後頭部に暗色斑が入る[4]。四肢前面は小型鱗で覆われ、不規則に大型鱗が混じる[4]。四肢や尾の色彩は黄色や黄褐色、橙色で、四肢前面は暗色がかる[4]。
卵は長径3.6 - 4.2センチメートル、短径3.2 - 3.9センチメートル[4]。
オスは甲長26センチメートル以上で性的二型が明瞭となる[2][4]。メスはオスに比べると背甲が幅広く甲高が高い[4]。オスの成体は第12縁甲板の外縁が下方や内側へ向かい、腹甲の中央部が顕著に凹み左右の肛甲板の間の切れ込みが浅い弧状[4]。尾がより太いうえに長く、総排泄腔が尾の先端寄りに位置する[4]。 メスの成体は第12縁甲板の外縁が後方に突出し、腹甲の中央部は凹まず左右の肛甲板の間の切れ込みがより深い[4]。尾がより細いうえに短い[4]。
以前はリクガメ属Geocheloneに含まれ、属内ではヘサキリクガメと共にAstrochelys亜属を構成する説もあった[6]。
2006年に発表された核DNAおよびミトコンドリアDNAの塩基配列の分子解析から本種とヘサキリクガメの2種はリクガメ属の他種ではなく、同所的あるいはセーシェルに分布するアルダブラゾウガメ属Dipsochelysやクモノスガメ属Pyxisと単系統群を形成すると推定されたためリクガメ属から分割する説が有力である[6]。一方で最大節約法による系統解析では本種とクモノスガメ属が単系統群を形成すると推定され、最尤法による系統解析では本種とヘサキリクガメで単系統群を形成すると推定された[6]。
そのためヘサキリクガメのみでヘサキリクガメ属Angonokaを構成する説もあったが[6]、本種とヘサキリクガメが単系統群を形成する可能性が高いとして2種でマダガスカルリクガメ属を構成する説が有力とされる[4]。
半砂漠にある岩場の点在するカナボウキ科Didiereaceaeやトウダイグサ科Euphorbiaceaeからなる藪地（低地）、低木林（標高400メートル付近）などに生息する[2][4][5]。昼行性だが、気温が高かったり乾燥すると薄明薄暮性傾向が強くなる[4]。乾燥が続くと堆積物や倒木の下などで穴を掘って潜る[4]。
食性はほぼ植物食で、主に草を食べるが、木の葉、花、果実、移入種Opuntia属を含む多肉植物、キノコなども食べる[2][4]。牛糞を集まった昆虫ごと食べた例もある[4]。
繁殖形態は卵生。交尾前のオス同士では甲羅をぶつけあって激しく争うことが多い[4]。交尾前にオスは頭部を上下させながらメスの総排泄孔の匂いをかいだり、頸部を伸ばしながらメスを追いかける[4]。メスに体当たりしたりひっくり返そうとして交尾を迫り、メスがオスを受け入れるとオスは唸り声をあげながら交尾を行う[4]。野生下では1回に1 - 5個の卵を年に3回まで産む[2][4]。飼育下ではアメリカ合衆国のジョージア州で主に9 - 翌4月に1回に1 - 9個の卵を、主に年に5 - 6回（最高7回）に分けて3週間間隔で産んだ例がある[4]。卵は145 - 231日で孵化する[4]。
長寿記録としてジェームズ・クックが1773年（第2回航海）もしくは1777年（第3回航海）にトンガの女王に寄贈したとされ、1966年に死亡した個体（トゥイ・マリリア）で189 - 193年の記録がある[7]。一方でクックは本種が分布するマダガスカルへの寄港例がないこと、クックの航海日誌にトゥイ・マリリアに関する記録がないこと、トンガでも1773年および1777年のトゥイ・マリリアに関する記録がないことから不確実な記録とされる[7]。
分布域では元々食用とされることは一般的でなかったが、他地域からの移入者や外国人などは食用とすることもある[2][4]。
移入者による保護区内も含む違法な焼畑農業や農地開発による生息地の破壊、人為的に移入されたカワイノシシPotamochoerus larvatusやイヌによる幼体の捕食、食用やペット用の乱獲などにより生息数は激減している[2][4]。2007年まではIUCNでも絶滅の危険性は高くはないと考えられていたが、2008年に行われた調査により実際には絶滅の危険性が非常に高いとされた[2][4]。ワシントン条約附属書Iに掲載され、商業目的の国際取引は禁止されている[2][4]。マダガスカルでは法的に保護の対象とされ[2]、採集・飼育・販売・譲渡などが禁止されている[4]。一方で密猟・密輸されることもあり、マダガスカルや日本などで摘発された例もある[4]。生息地では飼育下繁殖させる試みが進められている[4]。
ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されていた[4]。日本国内では種の保存法によりワシントン条約批准前に輸入された個体が登録書付きで流通することもある[4]。一方で不正登録が摘発された例もある[4]。
日本国内では2009年に野毛山動物園が初めて本種の飼育下繁殖に成功した[4][8]。
京都市動物園 [9] 野毛山動物園 [10] 恩賜上野動物園[11] 夢見ヶ崎動物公園[12] 江戸川区立自然動物園[13] 安佐動物公園[14] 茶臼山動物園[15] いしかわ動物園[16] 円山動物園[17]
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