クビワオオコウモリ(Pteropus dasymallus)は、哺乳綱コウモリ目(翼手目)オオコウモリ科オオコウモリ属に分類されるコウモリ。日本では南西諸島に分布する。ヒナコウモリ科のクビワコウモリ(日本固有種)と混同しないよう注意。
体長19-25センチメートル[1]。体重0.3-0.5キログラム[1]。背面を被う体毛は2センチメートル以上に達する[4]。脛背面も体毛で被われる[1][4]。背面の毛衣は暗褐色[3]。頸部に首輪状の淡色斑が入る[4]。
上顎の切歯は小型で、上顎前方の小臼歯がないかあっても痕跡的[1]。
常緑広葉樹林に生息する[a 3]。夜行性で、昼間は単独もしくは数頭から数十頭の群れで木の枝にぶら下がり休む[1][4][a 3]。季節的な移動を行う[3][a 3]。
食性は植物食で、主に果実(クワ科など)を食べるが、植物の葉(イチジク属、イチョウ、シマグワ、マルバグミ、モモタマナなど)、花(ビロウなど)なども食べる[1][4][a 3]。
繁殖形態は胎生。10-12月に交尾を行う[4]。4-6月に1回に1頭の幼獣を産む[4]。生後4-5か月で独立する[1]。
開発による生息地の破壊および食物の減少により生息数が減少し[a 3]、人為的に移入されたノネコによる捕食、ダイオウヤシやワシントンヤシの葉に絡まり脱出できずに死亡する例もあり生息数の減少が懸念されている[4]。台風による直接の被害および食料の減少などによる生息数も懸念されている[4]。南大東島での1993年における亜種ダイトウオオコウモリの生息数は300頭と推定されている[4]。亜種オリイオオコウモリの琉球大学キャンパス内での2001-2002年における推定生息密度に対して2008-2009年の推定生息密度は3倍、やんばる地域での2004-2005年における推定生息密度に対して2008-2009年の推定生息密度は2.7倍に増加しているとされ、これは2005年以降の沖縄島への台風の上陸数が減少したことが原因だと考えられている[8]。
沖縄県版レッドデータ 絶滅危惧IA類[4]
クビワオオコウモリの剥製。国立科学博物館の展示。