タラヨウ(多羅葉、学名:Ilex latifolia)はモチノキ科モチノキ属の常緑高木。
本州静岡以西~九州、中国、四国に分布する。関東にも植樹されていることがある。中華人民共和国にも自生する。
雌雄異株で、花期は4~5月頃、4mmほどの小さな淡黄緑色の花が群れて咲く。秋には8mmほどの小さな球形の赤い実がなる。
葉は肉厚で20センチほどもある長楕円形をしており、その縁は鋸のように細かいきざぎざとなっている。
日本では葉の裏面に経文を書いたり[要出典]、葉をあぶって占いに使用したりした[要出典]ため、その多くは寺社に植樹されている。
また、葉の裏面を傷つけると字が書けることから、郵便局の木として定められており、東京中央郵便局の前などにも植樹されている。
文字を書くことのできる性質がインドで経文を書くのに使われた貝葉の原料であるヤシ科のタラジュ(多羅樹、Corypha utan)という木のようだということで、タラヨウ(多羅葉)名前の由来となっている。
葉を火であぶると熱で破壊された組織が短時間のうちに黒く変色し、黒い円のような模様が浮かび上がる。これを円紋あるいは死環といい、寺社で吉凶を占う際に用いられた[要出典]。
葉の裏面に傷をつけるとその部分のみが黒く変色し、長期にわたって残るため、字を書いておくことができる。ここから、ジカキシバ、又はエカキシバともいわれる。戦国時代にこの葉の裏に文字を書いて情報のやりとりをした[要出典]という話もあり、これがはがき(「葉書」)の語源になったといわれ[要出典]、葉書の木、郵便局の木と呼ばれることもある。
なお、全国の図書館に寄せられた調査依頼(=レファレンス)を集めた「レファレンス協同データベース」では、成田市立図書館がタラヨウが葉書の語源か調査したレファレンスが事例登録されている。これによると、語源事典等にはタラヨウの記載がなく、『野草大百科』 で調べてみると、P.207に「タラヨウ(多羅樹)」の項目があり、「大きくて厚い葉の裏に、釘などで傷をつけると、その部分が黒くなるので、インドでは葉に経文を書いたという。はがきの語源は、昔は葉を使ったからとも、端書きがなまったものともいわれるが、タラヨウの葉は現在の変形はがきとして十分使用に耐える」としているが[1]諸説あり確かなことはわかっていない。
中国では苦丁と呼ばれており、葉を煎じて飲用に供している(→苦丁茶)。