クロゴキブリ(黒蜚蠊、学名:Periplaneta fuliginosa)は、ゴキブリ目ゴキブリ科に属する昆虫の一種である[1]。屋内に生息するゴキブリとして代表的かつ著名。
体長25-30mm。体は扁平で、体色は黒褐色で光沢がある。翅は大きく飛翔することができる。日本の関東地方から奄美大島まで、台湾、中国でみられる[1]。
本州中部の場合、一般に5-7月に羽化し、5-10月に産卵を続ける。卵鞘には22-26個の卵が入っており、27℃では41日で孵化する。孵化後300-350日後に成虫になるものが多く、成虫は25℃で200日前後生存する。雌成虫は一生で20-30個の卵鞘を産む。[2]。
雑食性。各種食品、木材、パルプ、皮革など、食害対象は広範である。これらの消化は腸内バクテリアによって実現されており、35℃を超える高温環境におかれ続けるとそれらバクテリアが死滅し、消化機能不全により本種は死亡する。
不衛生で湿度の高い環境に好んで棲み、また集合フェロモンで個体間の凝集、接触が盛んである。このため、人の健康上有害な物質や病原体を媒介する衛生害虫とみられている。また、糞による汚損、汚染ももたらす[2]。1970年頃まではポリオウイルスの媒介者と見なされていたが、21世紀現在では否定されている。
耐寒性が高い。最近では北海道においてもその存在が確認されており、国内に生息する屋内性のゴキブリでは越冬可能な唯一の種である。
本種は日本在来の昆虫ではなく、人類の海上移動に伴い侵入してきた外来種である。原産地は中国南部であるとする説が有力。18世紀前半に南西諸島に上陸し、以後島伝いに分布を北上させたとみられている。また、日本に限らず様々な地域を渡り歩いて分布を拡げたコスモポリタンでもあり、ほぼ世界中で姿を見ることができる。