ローマンカモミール、あるいはローマンカモマイル(学名:Chamaemelum nobile )は、キク科の多年草である。一般的にカモミールと呼ぶものには、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種がある。この2種は成分や形態に似ている部分もあるが、分類上の属は異なる[1][2]。ヨーロッパではハーブとして、どちらも同じように使われてきた。
カモミールはギリシア語で「地上のリンゴ」を意味するが、そのリンゴに似た芳香に由来すると考えられる[3]。16世紀にドイツの作家がイタリアを旅行した時にローマで見つけたというだけで[3]、名前と原産地とは関係がない。
ヨーロッパ、北アフリカ、アジアにわたり広く自生している[2]。
一年草のジャーマンカモミールとちがって、毎年6月から7月の夏に2 - 3センチの小さな花を咲かせる多年草であり、茎は毛状に地面を這うように伸びて行く。このため芝づくりにも利用される。葉にはリンゴのような香りがある[2][1]。
また、栽培品種ではないが、同じ属にダイヤーズカモミール A. tinctoriaという種がある。和名をコンヤカミツレといい、主にフランスで栽培され、鮮やかな黄色の花をつけ、染色にも利用されている[2][1]。
古くから薬草として知られ、古代エジプトでは太陽神への捧げものにされた。穏やかで確かな薬効のあるハーブとして、アラビア、ヨーロッパで古代より広く利用された。特に悪寒に効くとされ尊ばれていた。ギリシャでは熱病や婦人病の治療に使われた。また、カモミールのように踏まれるたびに成長せよという言葉もあり、逆境にあるものを励ます言葉にも使われた[4]。このハーブの花言葉には「逆境におけるエネルギー」というものがある。そのような生命力の強さを利用して、古くから庭の小道やベンチなどに植え込まれた。イギリスのバッキンガム宮殿やキューガーデンでは、それらを観る事ができる[2]。また、虫除けの効果もあるとのことから、床にまき散らして疫病などを防ぐストローイングハーブとしても用いられた[2]。
ハーブティーはリンゴに似た香りで、嗜好品として、また鎮静効果を持つとされ、不安、胃腸の不調、不眠などをの不調を治すために使われてきた[3]。カマメロサイドという成分にはAGEsの増加を阻害する働きがあり、抗糖化作用アンチエイジングが期待できる。花の中心の黄色の部分に、薬効のすべてが含まれている[2]。安全で効果的なハーブといわれるが、キク科アレルギーを持つ人には用いない。カモミールティーでアナフィラキシー反応を起こし、死亡した例がある。
ローマンカモミールから採れる精油は、無色かかすかに青い色をしており、ハーブ調のフルーティーであたたかい、紅茶のような香りがする[5]。色は数週間で消える。
鎮静作用の効果があるとされるエステルの含有率が高く、その芳香はストレス解消や不眠に効能があるとされ、入浴剤にも使われている[2]。ジャーマンカモミール油と異なり、ローマンカモミール油の抗炎症作用は弱く、抗微生物活性はない[5]。
アロマテラピーでは多くの効果が喧伝されるが、科学的研究でジャーマンカモミール油と混同されることがあり、知られる薬効はジャーマンカモミール油のデータに基づくものが多い[5]。これらの精油は成分組成は異なるため、ローマンカモミール油の効能を証明する研究は事実上ほとんどない。
精油や精油を含んだ軟膏などの使用によるアレルギー反応(主に接触性皮膚炎)、アナフィラキシー反応が報告されている[5]。アレルギー反応を誘発する恐れがあるため、特にキク科にアレルギーを持つ人は使用しない。
ローマンカモミール、あるいはローマンカモマイル(学名:Chamaemelum nobile )は、キク科の多年草である。一般的にカモミールと呼ぶものには、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種がある。この2種は成分や形態に似ている部分もあるが、分類上の属は異なる。ヨーロッパではハーブとして、どちらも同じように使われてきた。