サワラ(椹、学名:Chamaecyparis pisifera)は、ヒノキ科ヒノキ属の1種。針葉樹。
ヒノキ科ヒノキ属。日本を代表する林業用樹種であるヒノキ(C. obtusa)とは同属であり、後述のように形態的にもよく似ている。遺伝的にもヒノキに近く、両者間では繁殖能力のある雑種を作る。この雑種についてはDNA解析などの結果、雄親を本種、雌親をヒノキとするものが良く知られていたが、逆の組み合わせもあることが報告された[2]。ヒノキ以外に、天然分布が重ならないローソンヒノキ(C. lawsonia)とも交雑し、充実種子(中身が詰まっており、発芽できると思われる種子)を得られるという報告もある。ただし、この種子を発芽試験に供した結果、雑種実生は葉緑体に異常があり多くは発芽直後に枯死してしまった[3]。
樹高は通常 30〜40 m、大きいものでは約 50 m になる。主幹形であり外見はヒノキ(C. obtusa)によく似るが、枝はヒノキほど茂らず、枝と枝の間隔が広くなるため、遠くからでも幹がよく目立つ。ヒノキのように鱗片状の小さな葉がつくが、1枚1枚の先端が尖っているため、ヒノキとの区別は容易である。
日本国内最大のサワラは、福島県いわき市にある国の天然記念物「沢尻の大ヒノキ(サワラ)樹高29 m、幹周10 m、推定樹齢800年」である。天然記念物としての指定名称からもサワラとヒノキが似ていることが分かる[5]。
ヒノキよりも成長が早いが、木材は柔らかいためヒノキのように柱などとしてはあまり用いられない。水湿に強く、ヒノキやアスナロのような臭いがないので、飯櫃や柄杓、桶などによく用いられる。木曽五木の1つである。殺菌作用があるため、松茸など食品の下の敷物としても使われる。