オオカンガルー(Macropus giganteus)は、二門歯目カンガルー科カンガルー属に分類される有袋類。カンガルー属の模式種。別名ハイイロカンガルー。
オーストラリア(クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州)固有亜種
オーストラリア(タスマニア州東部)固有亜種
体長オス54-120cm、メス51-101cm。尾長オス43-110cm、メス44-84cm。体重オス4-66kg。メス3.5-32kg。メスよりもオスの方が大型になる。カンガルー属内でも大型で、種小名gigantuesは「巨大な」の意で和名とほぼ同義。全身は灰色の柔らかい体毛で被われる。尾の先端は黒い体毛で被われる。
吻端は体毛で覆われ、吻端の体毛が無く皮膚が露出した部分(鼻鏡)は小型。
草原や半砂漠地帯、荒地、森林に生息する。薄明薄暮性で、昼間は木陰などで休む。跳躍力は強く、時速64kmで走行することができる。約10頭の小規模な群れを形成し生活するが、最大で約100頭の群れを形成することもある。オス同士では尾でバランスを取り前肢で引っ掻いたり後肢で蹴りを繰り出すボクシングのような闘争を行う。
繁殖形態は胎生。周年繁殖するが、主に夏季に繁殖する。妊娠期間は30-40日。1回に1頭の幼獣を産む。新生児は1gほどの未熟な状態で、自力で育児胆まで辿り着きその中で発育する。生後約44週間は育児胆の中で生活し、約1年半で独立する。
オーストラリアでは食用とされて、肉は海外にも輸出されている[1]ほか、毛皮は様々な用途に利用されている。
人間による開発で森が減少し草地が増加したため、生息地および生息数が増加傾向にある。2010年にはは1100万頭が生存していたとされる[2]。農作物に対する被害が問題になり、駆除の対象となっている。夜に車のライト目掛け向かってくることがあり、交通事故により命を落とすこともある。大型動物のため車が負う被害も大きいことから、交通事故の際に車体を保護するカンガルーバーもある。
Cath Jones & Steve Parish、Field Guide to Australian Mammals、Steve Panish Publishing、2004