ゲルセミウム・エレガンス(学名: Gelsemium elegans)は、ゲルセミウム科またはマチン科ゲルセミウム属のつる性常緑低木。別名は冶葛(やかつ)、鉤吻、断腸草[2]、胡曼藤(草)[2]、野葛[2]、毒根、黄藤、大茶薬(藤)[2]、除辛、爛腸草[2]、ランゴン、シュア・ノーツァ。
常緑の蔓性樹木で、長さは3 m から12 m になる[2]。根は黄色である。葉は革質で対生し、光沢を持ち厚みがある。形は楕円形または狭卵状披針形[2]。花弁は黄色で花期は5月から11月[2]。果実は蒴果で2筋の縦線をもち、熟すとこれに沿って裂ける。種子は腎形または楕円形。[2]
原産は東南アジアから中国南部[2] で、この付近に自生する。日当たりの良い山の斜面、道端の草むら、低木の茂み、雑木林を好み、海抜 500-2,000 m [2]の地域に分布する。
世界最強の植物毒を持っているといわれるほどの猛毒植物。有毒成分はゲルセミン(英語版)、コウミン (koumine)、ゲルセミシン (gelsemicine)、ゲルセヴェリン (gelseverine)、ゲルセジン (gelsedine)、フマンテニリン (humantenirine) などのアルカロイド。毒部位は全草で、もっとも毒の強い部位は若芽である。植物体のどの部分を食したかによって中毒症状の出る速さが違い、新鮮な若葉・根の煎汁・葉の乾燥粉末を摂取した場合は速く、根本体では遅いという。平均すれば1時間前後となる。消化管から最もよく吸収される。最もポピュラーな中毒症状は呼吸麻痺であるが、これはゲルセミウム・エレガンスの毒が延髄の呼吸中枢を麻痺させることに起因する。心拍ははじめ緩慢だが、のち速くなる。ほかに、眩暈、嘔吐、口腔・咽頭の灼熱感、流涎、腹痛、下痢、筋弛緩、呼吸筋周囲の神経麻痺、視力減退、瞳孔散大、呼吸の浅深が不規則になる(これが副次的にアシドーシスを引き起こす場合も)、嗜睡、全身痙攣、後弓反張、運動失調、昏迷などがある。
漢方医の方面では根を水洗いして乾燥させたものを「鉤吻」と呼び、喘息治療や解熱、鎮痛などに用いる。しかし、あまりに毒性が強いため、『本草綱目』をはじめ数多の医学書には、「内服は厳禁」と記されている。
正倉院宝物の中にも冶葛が残されている。冶葛壷[3]に32斤(16kg)収められていたが、記録によればかなり使われた形跡がある(用途は不明)という(現存するのは390g)。1996年、千葉大学薬学部の相見則郎教授が依頼を受けて提供された2.8gの冶葛を分析したところ、1200年以上経っていたにもかかわらず、ゲルセミン、コウミン、ゲルセビリン、センペルビリン (sempervirine) の計4種のゲルセミウムアルカロイドが検出され、冶葛がゲルセミウム・エレガンスであることが証明された[4]。正倉院の「冶葛」は、文献に記録された冶葛としては「唯一現存するもの」である[5]。
ゲルセミウム・エレガンス(学名: Gelsemium elegans)は、ゲルセミウム科またはマチン科ゲルセミウム属のつる性常緑低木。別名は冶葛(やかつ)、鉤吻、断腸草、胡曼藤(草)、野葛、毒根、黄藤、大茶薬(藤)、除辛、爛腸草、ランゴン、シュア・ノーツァ。