コヨリムシ目(Palpigradi)は、節足動物門鋏角亜門クモ綱に所属する分類群である。
ごく小型の動物であり、最大の種でも3mmを越えない。体は細長く、鞭のように細長い尾節を持つ点ではサソリモドキに似ているが、細部には重要な違いがある。
頭胸部は細長い。背面では頭胸甲が、前端から第2脚までと、第3脚、第4脚背面で区分されている。腹面では口から第1脚の間の腹板と、第2、第3、第4脚に当たる腹板が分かれている。クモ型類の中では、頭胸部は互いに融合して区別がつかないのが普通で、このように頭胸甲の体節が明確な例は他にヤイトムシとヒヨケムシしかいない。
鋏角は三節からの鋏状となる。触肢の役割は他のクモ型類の感覚や捕食用と異なり、歩行に使う。歩脚の第1脚は細長く、感覚器官となり、残り3対の歩脚は触肢と共に歩行に用いられる[1]。
腹部は体節に分かれ、やや幅が狭くなって頭胸部とつながる。腹部の末端からは鞭状の尾節が伸びる。尾節は14-15の環節からなり、長い毛がはえている。
クモ型類にしては例外的に、書肺や気管などの呼吸器官を欠き、体表を通じてガス交換を行う[2]。
多くは土壌中に住み、湿ったところに生息する。洞穴から発見されるものもある。動きは素早く、生態について詳しいことは分かっていない。肉食性と思われるが、Eukoenenia spelaeaは藍藻を摂食することが見られる[3]。繫殖行為は不明で、一回に少数、体型に対して大型の卵を産むことしか知られていない[1]。
世界各地に分布が知られ、マダガスカルには種数が多いことがわかっている。日本ではかつて小笠原諸島において不完全な標本が採集されているのみである。
化石種を含め、約3科80種が知られる。