ホタルジャコ科(学名:Acropomatidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群(科)の一つ。ホタルジャコ・アカムツなど、やや深い海で生活する種を中心に7属31種が含まれる[1]。
ホタルジャコ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋・インド洋・大西洋など世界中の海に広く分布する[1]。ほとんどの種は水深100m以深のやや深い海に生息し、いわゆる深海魚に該当するものも多い[2]。日本の近海からは5属14種が報告されている[3]。
本科魚類の生態についてはあまりよくわかっておらず、大陸棚や大陸斜面の海底付近で生活するもの、外洋の中層に進出するものまでさまざま[2]。アカムツなど一部の種が食用として利用される[2]。
左右に平たく側扁した、いわゆる鯛型の体型をもつ。最大種では全長40cmに達するが、多くは10数cmほどの小型魚類である[2]。
ホタルジャコ属のうち3種は腹部に発光器をもち、肛門は腹鰭の基底近くに位置する[1]。このように著しく前方寄りの肛門は、スズキ目では他にハタ科の1種(Bullisichthys caribbaeus)およびテンジクダイ科の1種(Apogon gularis)しか知られていない[1]。
背鰭は2つあり、7-10本の棘条からなる前半部と、0-1棘8-10軟条の後半部に分かれる[1]。臀鰭は2-3棘7-9軟条[1]。側線はよく発達し、鰓蓋骨に2本の丸みを帯びたトゲをもつ[2]。鰓条骨は7本、椎骨は25個[1]。
ホタルジャコ科には、Nelson(2016)の体系において7属31種が認められている[1]。
かつて暫定的に本科に含められていたイシナギ属(および Polyprion 属)とカワリハナダイ属は、現在ではそれぞれ独立のイシナギ科・カワリハナダイ科を構成するようになっている[1][4]。同様に本科に置かれていたクシスミクイウオ属 Howella は、ペルキクティス科(Percichthyidae)に移された後[5]、独立のクシスミクイウオ科として扱われている[1]。