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シフゾウ ( japonais )

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シフゾウ シフゾウ
シフゾウ Elaphurus davidianus
保全状況評価[1] EXTINCT IN THE WILD
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EW.svg 分類 : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata : 哺乳綱 Mammalia : 偶蹄目/鯨偶蹄目
Artiodactyla/Cetartiodactyla : シカ科 Cervidae 亜科 : シカ亜科 Cervinae : シフゾウ属 Elaphurus
Milne-Edwards, 1886[2] : シフゾウ E. davivianus 学名 Elaphurus davidianus
Milne-Edwards, 1866[1][2] 和名 シフゾウ[3][4] 英名 Pere David's deer[1][2][3][4][5]

シフゾウElaphurus davidianus)は、偶蹄目(鯨偶蹄目とする説もあり)シカ科シフゾウ属に分類されるシカ。本種のみでシフゾウ属を構成する。

シカのような角をもちながらシカでない。ウシのような蹄をもちながらウシでない。ウマのような顔をもちながらウマでない。ロバのような尾をもちながらロバでない。このように四つの動物に似た特徴をもちながら、そのいずれとも異なるために「四不像(中国音:スープシャン)」と呼ばれる。

19世紀末に野生状態では絶滅してしまったが、後述の通りイギリスで飼育されていた個体群の維持・繁殖は成功し、種の絶滅の危機は免れた。1980年代には中国で再び野生に戻されるまでに復活し、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでも1996年には絶滅寸前(CR)とされたが、再び野生個体数が減少し、2008年に同レッドリストが改訂された際、保全状態が野生絶滅 (EW) にあらためられた[6][要出典]

中国の明代の物語である『封神演義』では神獣として描写されている。

日本では、帰化した際に植生改変やニホンジカとの交雑が起こる恐れがあるとして特定外来生物に指定されている。

形態[編集]

体長183 - 216センチメートル[3][5]。体長約220cm。尾長22 - 35.5センチメートル[3]。尾長約66cm。肩高122-137センチメートル[3]体重オス214キログラム、メス159キログラム[3]。成獣の体重は150-200kg。尾は長く、先端の体毛は房状に伸長する[3]。属名Elaphurusは「尾のあるシカ」の意[4]。頸部の体毛は伸長し、鬣状になる[3]

頭部は細長い[3]。眼は大型[3]。鼻孔周辺の体毛に覆われない裸出部(鼻鏡)は大型で、アルファベットの「V」字状[3]。四肢は長く、蹄も大型[3]。眼下部には臭腺(眼下腺)が発達する[3]。シカ科に属するが、上述の通り、幅広の蹄、ウマのような顔、長い尾など、独特の外見をしている。メスはオスの半分程度の大きさである。体毛は、夏は赤茶色、冬は灰色がかった黄淡褐色をしている。青白い顔にはつぶれたような形の特徴的な鼻をもつ。

分類[編集]

種小名davidianusはフランスの宣教師Pere Armand Davidに由来する[4]。Davidは1865年に南苑(皇帝の狩猟用施設)の個体を発見し[3][5]、パリの博物館へ毛皮を送りこの毛皮が基になって新属新種として本種が記載された[1][4]

生態[編集]

低地にある湿原に生息していたと推定されている[3]。雌雄別々に群れを形成し生活する[1][3][5]。泳ぎは上手く、肩部まで水に漬かることもある[5]

草、木の葉、抽水植物などを食べる[1]

繁殖様式は胎生。繁殖期になるとオスは多数のメスと群れ(ハレム)を形成する[3]。妊娠期間は288日[3]。妊娠期間は9ヶ月前後。1回に1 - 2頭の幼獣を産む[3]。生後2年3か月で性成熟する[3]。一度に生まれる子供の数は1頭ないし2頭。14ヶ月ほどで成獣となり、寿命は23年程度と考えられている。

人間との関係[編集]

角がシカ、頸部がラクダ、蹄がウシ、尾がロバに似ているが、そのどれでもないと考えられたことが名前(四不像、四不相や四不象と表記されることもあり ピンインsze pu shiang)の由来という説(像は体の意)が有力とされる[3][4][5]。一方で四不像は北満州ではトナカイを指す呼称として用いられることもあった[4]

シフゾウは古くは中国北部から中央部にかけての沼沢地に生息していたが、19世紀半ばには北京郊外にある清朝皇帝の狩場である南苑(zh)を除き、絶滅してしまった。1865年フランス神父A.ダヴィッド(Armand David 1826年-1900年)が南苑に生息しているシフゾウを「発見」し、この動物をヨーロッパに紹介した。ダヴィッド神父の名はシフゾウの学名における種小名davidianusや、英名であるPère David's Deerに残されている。

1865年にDavidに発見される以前に、南苑の個体を除いて絶滅した[3][4]。1890年代に南苑の外壁が洪水で破壊されたことにより[3]、南苑の残存個体群も洪水による溺死、飢餓によって周辺の住民および義和団の乱に伴う狩猟によって清朝末期に絶滅したと考えられている[1][5][4]1895年に南苑を襲った洪水と、1900年義和団の乱による戦乱のため、飼育下にあった1頭のメスを除き、南苑のシフゾウは全滅した。最後のメスも1920年に死亡したことで、中国からシフゾウは姿を消してしまった。ヨーロッパの動物園で飼育されていた個体も第一次世界大戦中に全て死に絶えた。シフゾウは群れを構成しないと繁殖がうまくいかないという習性を持っていたものと考えられている。この段階で、シフゾウという種は完全に消滅したと考えられた。 イギリスのベッドフォード公爵Herbrand Arthur Russell)がWoburn Abbeyに集めた個体がおり、ヨーロッパの動物園でもそれらの個体を元に飼育下繁殖が進められた[3][4]。ウォバーンの個体群は1901年には20頭以上、1907年には30頭以上、最大で200頭に達した[4]。1948年に7頭がロンドン動物園に、4頭がニューヨーク動物園に売却された[4]。1956年にはウォバーンで飼育下繁殖された個体4頭が、北京動物園に贈られている[1][3]。しかし、シフゾウは絶滅してはいなかった。イギリスの大地主・ベッドフォード公爵Duke of Bedford)が、ヨーロッパの動物園で余ったシフゾウ18頭を買いとり、自分の荘園にて飼育していたのである。この群れでは、1920年当時、いまだ50頭ほどが生き延びていた。これらの生き残りたちは繁殖を重ね、個体数は順調に増加していった。1946年、ベッドフォード公爵家は、200頭ほどまで増えていたシフゾウの群れを分割し、他の動物園などに提供することを決めた。その子孫たちも順調に増え、1985年には元の生息地である南苑に放されることになった。その年、ついに野生のシフゾウが復活した。のちにシフゾウは江蘇省に設けられた保護区にも放されている。これら野生のシフゾウも、世界中の動物園で見られるシフゾウも、すべてベッドフォード公爵が飼育していた50頭の子孫にあたる。 1985年からヨーロッパで飼育下繁殖させた個体を中華人民共和国で再導入する試みが進められている[3]。1985年に20頭(オス5頭、メス15頭)、1987年にメス18頭が南苑のあった北京周辺にウォバーンで飼育下繁殖させた個体が最導入された[1]1986年に本来の生息地と考えられている上海北部にある大豊保護区にも、イギリスの動物園で飼育下繁殖させた個体39頭が最導入された[1][5]。1993年に北京周辺の個体がTianezhou保護区へ、2002年に北京周辺と大豊保護区の個体がDafeng保護区へ最導入されている[1]。2017年現在IUCNのレッドリストではExtinct in the Wildと評価されているが、近年は個体数は増加傾向にあり放獣された個体群が近い将来に確立されれば評価が改訂されることが示唆されている[1]。北京周辺での1990年における個体数は100頭、1998年における個体数は180頭と推定されている[3]。上海北部にある大豊保護区での1993年における個体数は122頭、1999年における個体数は354頭と推定されている[3]

日本では2006年2月にシカ亜科他種が分布域外で移入・定着した例があること・ニホンジカとの遺伝子汚染が懸念されることから、本種を含むシカ亜科の構成種が特定外来生物に指定された[7]

日本では1888年にペアが恩賜上野動物園へ寄贈され、オスは1896年にメスは1898年に死亡した[4]。このペアは1890年と後にもう1回繁殖に成功しているが、1890年に産まれた個体は成獣になる前に死亡、後に産まれた個体も成獣になったものの明治時代のうちに死亡している[4]。1936年に四不像が京都市動物園で飼育されたが、これはトナカイだったとされる[4]

シフゾウ

封神演義におけるシフゾウ[編集]

中国明代の神怪小説『封神演義』では神獣として描かれており、その姿は麒麟の頭で獬豸のような尾を持ち、体はに似ると記述されている。物語の主人公である道士姜子牙(太公望)が騎乗した。

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l Jiang, Z. & Harris, R.B. 2016. Elaphurus davidianus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T7121A22159785. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T7121A22159785.en. Downloaded on 16 August 2017.
  2. ^ a b c Peter Grubb, "Order Artiodactyla". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 637-722.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 小原秀雄 「シフゾウ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社2000年、35、151-152頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 高島春雄四不像盛衰史」『山階鳥類研究所研究報告』第1巻 1号、山階鳥類研究所、1956年、5-14頁。
  5. ^ a b c d e f g h Erin Jacobson, 2003. "Elaphurus davidianus" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed August 16, 2017, 2017 at http://animaldiversity.org/accounts/Elaphurus_davidianus/
  6. ^ The IUCN Red List of Threatened Species(tm): Elaphurus davidianus
  7. ^ 特定外来生物等一覧 特定外来生物等一覧(指定日別)特定外来生物の解説環境省 ・2017年8月16日に利用)

関連項目[編集]

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シフゾウ: Brief Summary ( japonais )

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シフゾウ(Elaphurus davidianus)は、偶蹄目(鯨偶蹄目とする説もあり)シカ科シフゾウ属に分類されるシカ。本種のみでシフゾウ属を構成する。

シカのような角をもちながらシカでない。ウシのような蹄をもちながらウシでない。ウマのような顔をもちながらウマでない。ロバのような尾をもちながらロバでない。このように四つの動物に似た特徴をもちながら、そのいずれとも異なるために「四不像(中国音:スープシャン)」と呼ばれる。

19世紀末に野生状態では絶滅してしまったが、後述の通りイギリスで飼育されていた個体群の維持・繁殖は成功し、種の絶滅の危機は免れた。1980年代には中国で再び野生に戻されるまでに復活し、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでも1996年には絶滅寸前(CR)とされたが、再び野生個体数が減少し、2008年に同レッドリストが改訂された際、保全状態が野生絶滅 (EW) にあらためられた[要出典]。

中国の明代の物語である『封神演義』では神獣として描写されている。

日本では、帰化した際に植生改変やニホンジカとの交雑が起こる恐れがあるとして特定外来生物に指定されている。

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