ゲットウ(月桃)はショウガ科ハナミョウガ属(アルピニア属)の多年草。 学名Alpinia zerumbet。
地下茎は横に這い、あちこちから地上に偽茎を立てる。偽茎は高さ2mほどになり、先端の方に互生するように大きな葉をつける。葉は楕円形で緑、やや硬くてつやがある。
5月-6月に偽茎の先端から穂状花序を出す。花序はやや垂れ下がり、赤い縁取りの入った白い苞に包まれた蕾が並び、その先が開くとそこから突き出すように大きな白い花を咲かせる。花弁は厚みがあり、蝋細工のような手触り。唇弁は黄色で、中央に赤い縞模様がある。9月-10月に赤い実を結ぶ。
熱帯から亜熱帯アジアに分布し、日本では沖縄県から九州南部に分布。
斑入りのものを黄斑月桃(キフゲットウ / Alpinia zerumbet 'Variegata')といい、観葉植物として栽培される。ゲットウと同じハナミョウガ属にはフイリゲットウという和名の植物(Alpinia sanderae)もあるが、これはゲットウとは別種である。
葉から取った油が甘い香を放つので、アロマオイルや香料として使用する。虫よけの効果もある。特に変種のハナソウカ(Alpinia zerumbet var. excelsa Funak.&T.Y.Ito)には精油含量が多い。
種子は乾燥させ、主に健胃、整腸の効果を持つ薬として使用。または茶として飲用する。
名前は台湾での現地名で、漢名の月桃の読みから。また、花のつぼみが桃のような形をしていることから「月桃」と名づけられた。など由来の文献はない。荷をくくるのに使うことから大東島や八丈島ではソウカ、小笠原ではハナソウカとも呼ばれる。
沖縄県ではサンニンとも呼ばれる。 由来 ハナミョウガなどの種子塊で、漢方健胃薬で使用される「砂仁(シャジン)」に基づくが、但し解釈は諸説ある。
また、サニ、サニン、サヌイン、サネン、ムチガシャ、ムチザネン、マームチハサーと呼ぶ地域もある(クマタケランも同じくこう呼ばれることがある)。
沖縄県では葉にムーチーを包んで蒸す。沖縄県ではこの用途のために需要が一定存在するが、栽培されることはあまり無く、ムーチーの季節である冬至前になると野生のゲットウが大量に収穫される。沖縄ではこのほかに香り付けを兼ねて饅頭の包装に使用されたり、肉や魚を包んで蒸し焼きにするなど幅広く利用されている。ブルーシールアイスクリームのフレーバーの一つにもなっている。
ゲットウの葉に包まれたムーチー