オロシザメ(Oxynotus japonicus)はオロシザメ科に属するサメの一種。生態はほとんど分かっていない。日本の駿河湾や遠州灘などに生息する。最大で64.5cmに達し、体色は暗褐色で皮膚は非常に粗い。北半球の太平洋で同科のサメは本種しかいない。 稀に底引き網などで混獲されるが、IUCNは情報不足としている[1]。
日本の魚類学者 、矢野和成らによって、静岡県の戸田村の郷土造船資料館(現沼津市立戸田造船郷土資料博物館)の展示物であった個体をもとに記載された。この個体は、駿河湾戸田沖水深225~270メートルの底引き網漁によって得られた。[2]1985年に日本魚類学会の学会誌、日本魚類学雑誌32(2)に発表された。タイプ標本の個体が日本から得られ原記載産地となったため、Oxynotus japonicus と名付けられた。
温帯性の稀種であり、捕獲例もほとんどないため正確な分布はわからないが、駿河湾近辺で見つかることが多い。また、茨城県大洗町でも漁獲されたことがある[3]。北海道大学名誉教授仲谷一宏によると日本国外では台湾でも捕獲記録がある[4]。
第1背鰭棘は後方にわずかに傾き、第2背鰭の棘先端から第2背鰭先端までの高さは、棘先端から背鰭基底までの垂直高の約2倍であることから、ミナミオロシザメ 、Caribbean roughshark、Angular roughsharkの3種類と区別できる。 また、噴水孔が卵形で、第2背鰭基底の1.3倍が第1背鰭と第2背鰭の間の長さになることからSailfin roughsharkと区別できる[2]。 他のサメよりも盾鱗が粗く、おろし金のようになっており、本種の和名はこのような特徴から付けられている[5]。 また、大きな鼻を持つ顔つきがタヌキに似ていたため、オロシタヌキ、といった和名も候補に挙がっていた[5]。
捕獲例が少なく、2014年に駿河湾で水深250mから底曳網に入り、生きたまま揚がった個体が10例目であろうと言われている[6]。そのため、詳しい生態が分かっていない。2014年に沼津港深海水族館で飼育された際はどの餌にも興味を示さず、9日後に死亡したため、何を食べているかも分かっていない[6]。
底曳網で時折混獲されるが捕獲例が少ないためIUCNは情報不足としている[1]。
深海に生息している上、捕獲数が少ないことから水族館での飼育例はほとんどない。しかし、その中で確実な飼育記録は4件あり、 2011年3月20日に伊豆三津シーパラダイスで体長約50cmの個体が搬入され、1週間ほど飼育された[7]。 2014年3月2日に沼津港深海水族館に搬入された個体を9日間飼育した[8]。また、同水族館では2016年4月16日にも搬入され一週間ほど飼育された[9]。2017年3月11日にも63cmの雌が同水族館に搬入され[10]同月26日まで飼育された[11]。