R. macrorrhiza Griffith、R. longissima Blanco
和名 ヤエヤマヒルギ、オオバヒルギ、シロバナヒルギヤエヤマヒルギ(八重山蛭木、八重山漂木、学名:Rhizophora mucronata)は、ヒルギ科ヤエヤマヒルギ属の常緑高木。別名オオバヒルギ(大葉蛭木、大葉漂木)、シロバナヒルギ(白花蛭木、白花漂木)。また、学名にRhizophora stylosa Griffithが採用されることもある。
樹高は8-10m程度となる常緑高木。幹の根本近くから周囲に向かって、多数の弓なりの形状の呼吸根を伸ばす。この呼吸根は、幹の下部から斜め下に向かって出て、枝分かれしながら泥に入り込むので、見かけはタコノキ類のものに似ている。むしろ幹を支えているようにも見えるので、支柱根と言うこともある。
葉は厚い革質で滑らか、全体は楕円形で、先端にとがった突起があるのが特徴。葉の裏側には無数の小さい黒点がある。
花期は5-7月。腋生の集散花序で、花弁は4枚で白く、この花の色から、別名シロバナヒルギと呼ばれることもある。萼片は4枚で、萼片の先は裂けており、形状は三角形である。花の後、果実は卵形で、萼片が付かないのが本種の特徴である。やがてその果実の先端から長さ30cm以上にも及ぶ細長い褐色の胎生種子の根が伸びる。成熟した胎生種子は、他のマングローブ植物と同様に果実から抜け落ちて海流に乗って移動し、海流散布により分布を広げる。
感潮帯の、比較的海水に晒される干潟に生えるマングローブの構成種の一つ。他のヒルギ科植物と比較して塩分に対する耐性が強く、マングローブの帯状分布では、より海側に生育する[1]。
東アフリカから南アジア、オセアニアの熱帯および一部の亜熱帯に広く分布する。日本では南西諸島(沖縄諸島・宮古島・八重山諸島)に分布する。分布の北限は沖縄本島である。
沖縄本島を北限とし、沖縄諸島以南でマングローブを構成する。特に八重山諸島に多く、優占種となっている。沖縄本島では、元々島北部の東村慶佐次などでしか見られなかったが、1970年代に漫湖に植栽され、繁殖している[2]。石垣島および西表島の干潟には大群落を形成する。
本種の学名については、Flora of Japan[3]によりRhizophora mucronataが採用されている。しかしながら、本種の和名及び学名については、いくつかの混乱が指摘されている[4][5]。
初島住彦は、当初オオバヒルギR. stylosaを採用したが[6]、その後オオバヒルギR. mucronataを採用し[7]、最終的にはヤエヤマヒルギR. mucronataを採用し、R. stylosaについては琉球諸島に産するものは栽培種としている[8]。一方、島袋敬一はヤエヤマヒルギR. stylosaを採用し、R. mucronataをシノニムとしている[9]。
瀬戸口浩彰は、1997年の著書[5]で、ヤエヤマヒルギR. stylosaを採用し、R. mucronataを別種として紹介するものの、本種の分類の混乱があることを指摘し、1999年のFlora of Japan[3]で、R. mucronataに変更している。
また、日本の植物の和名学名のリストを提供する「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)ではオオバヒルギR. mucronata を採用し、R. stylosaをシノニムに、ヤエヤマヒルギを別名としており、アメリカ合衆国農務省の作成したGermplasm Resources Information Network(GRIN)では、日本に産する種はR. mucronataとし、R. stylosaは東南アジア以南に産することとしている[10][11]。
樹皮を染料とする。また、材、木炭の原料となる。