スマトラサイ(蘇門答刺犀、Dicerorhinus sumatrensis)は、ウマ目(奇蹄目)サイ科スマトラサイ属に分類されるサイ。本種のみでスマトラサイ属を構成する。
インドネシア(スマトラ島、ボルネオ島)、マレーシア、ミャンマー[1][2][3]。カンボジア、ベトナムに分布する可能性もあり[1][3]。
種小名sumatrensisは「スマトラ産の」の意で、和名や英名と同義。
体長240-320センチメートル[2]。尾長65センチメートル[2]。肩高108-150センチメートル[2][3]。体重800-1,000キログラム[2][3]。サイ科としては皮膚が薄く、厚さ1.6センチメートル[2]。全身は耳介も含めて、粗く長い体毛で被われる[1][2]。全身の毛衣は灰色や灰褐色[1][3]。
2本の角があり、最大角長38.1センチメートル(平均オス25センチメートル、メス10センチメートル)[1][2][3]
出産直後の幼獣は体長90センチメートル[2]。体重25キログラム[2]。角長2センチメートル[2]。メスは角が小型で、後部の角は瘤状[2]。
サイ科の現生種では原始的な種で[2]、4,000万年前からほぼ形状が変わらずケブカサイなどの化石種と近縁だと考えられている[1]。
熱帯雨林や湿潤林などに生息し、特に河川や沼の周辺に好んで生息する[2]。以前はジャワサイと同所的に分布する地域では本種はより標高が高い場所に生息しすみわけていたが、生息地が激減したため様々な標高に生息する[2]。夜行性で[3]、昼間は水浴びや泥浴びをする[1]。単独やペア、もしくはその幼獣からなる家族群を形成し生活する[2][3]。オスは30平方キロメートル[3]、メスは10平方キロメートルの行動圏内で生活する[2]。斜面や崖を素早く登ることができる[2][3]。また泳ぎも上手く、海を泳いだ例もある[2][3]。オス同士では下顎の門歯や犬歯を使って激しく争う[1]。
食性は植物食で、樹皮、木の枝、葉、果実(イチジク、マンゴーなど)、タケノコなどを食べる[1][2][3]。
繁殖形態は胎生。妊娠期間は13か月[3]。1回に1頭の幼獣を3-4年に1回産む[2][3]。授乳期間は16-17か月[2]。生後7-8年で性成熟する[2][3]。
角が工芸品とされたり、角に限らず血液や糞尿まで薬用になると信じられている[2]。
開発による生息地の破壊、角目的の乱獲などにより生息数は激減している[1][2][3]。1989年における生息数は536-962頭、1993年における生息数は356-495頭、1995年における生息数は約300頭と推定されている[2]。
インドネシア政府によって保護が進められているが、飼育下での繁殖は難航している。記録上、飼育下で繁殖に成功したのは、2012年6月の成功例を含めても、過去112年で4頭しか存在しない[4]。