キミオコゼ(英名:Clearfin lionfish、学名:Pterois radiata) はインド洋と太平洋に生息する、フサカサゴ科に属する肉食で有毒の海水魚である。ミノカサゴの仲間としては唯一鰭棘に模様がなく、英名の"Clearfin lionfish"もこれに由来する。尾柄部に一対の白い水平な縞が入ることでも近縁他種と区別することができる。
キミオコゼは最大で体長約24cmまで成長するが、普通成魚の体長は20cmほどである。背びれには12本か13本の長く有毒の棘と、10-12本の軟条がある。尻びれは3本の棘と6本の軟条をもつ。大きな胸びれは体側面に向けて広がっており、透明で模様は無い。その他の鰭も無色である。体色は赤茶色だが、約6本の色の異なる暗い縞をもち、それらは細い白色のラインで区切られている。尾柄部には二本の水平な白色の縞があり、これによって近縁他種と区別することができる[1][2]。同属種のネッタイミノカサゴ(Pterois antennata)によく似るが、前述の尾柄部の帯や、キミオコゼには胸びれ基底部の膜に丸い斑紋がないことなどによって区別できる[3]。
キミオコゼは西部インド太平洋地域に固有の種である。生息域は南アフリカから紅海、インドネシア、ソシエテ諸島、琉球列島、北オーストラリア、ニューカレドニアにかけて広がる。沿岸と沖合の岩礁どちらにおいても、水深約25mにおいて発見されている。未成魚はタイドプールで見つかることもある[2]。日本においては高知県以南でみられる[4]。
キミオコゼは基本的に夜行性である。日中は岩の裂け目や小さな洞穴、張り出した岩の陰などに隠れて過ごし、夜になると活動を始めてカニやエビなどの無脊椎動物を捕食する[1]。
水族館等で観賞魚として飼育され、食用にはならない。棘は人間にとって有毒であり、刺された場合はアンモニアが効かないため、毒を絞り出してからぬるま湯につけ、もむのが良い[4]。