スズメノカタビラ(雀の帷子、学名:Poa annua)は、単子葉植物イネ科イチゴツナギ属の一年草である。冬を越して越年草となることもある。
身近にごく普通に見られる雑草である。ごく小柄な草であり、高く伸びてもせいぜい20cm、小さいものは5cm位でも花をつけている。地下茎はなく、数本が株立ちになっている。全株黄緑色で柔らかい。茎は葉の基部の鞘に包まれ、葉は平らで短めの線形、真っすぐに出るが、先端がやや窪んで受けた形になる。時折り葉の縁が波打つようになる。
花序は円錐花序で、季節を問わずに出る。花序の枝が横に広がるのが特徴の1つ。小穂は卵形、左右から偏平で数個の花が含まれる。
名前の意味は雀の帷子であるが、その由来についてはよく分かっていない。
非常に広範囲に生育している。道端、庭の隅、畑など、おおよそ雑草の生える場所ならどこにでも生えている。しかし、どちらかと言えば湿った所を好み、水田の田植え前には一面に出る。
分布も広く、国内は全土に、国外を見ても極地以外はほぼ世界中に分布する。ヨーロッパ近辺が原産とも言われるが、不明。アメリカ大陸は、比較的近年の帰化だと考えられている。
とにかく小さな体を利してあらゆる所に出現し、ひいてもひいてもまた生えてきてすぐに花をつけるので始末におえない。
近年都会周辺で台頭してきているのが帰化種のツルスズメノカタビラ P. annua var. reptans である。スズメノカタビラに比べて根元がやや這い、小軸の稜が大きめで、やや翼になる。ただしこれを区別するには、小穂を分解して、少なくともルーペで観察せねばならず、しかも判別が難しい。
近縁種としてはツクシスズメノカタビラ P. crassinervis が西日本にあり、やや背が高く、穂が上に向いて立つ。確実に同定するには小穂を見る必要がある。属は異なるが、やや似た姿で、似た所に生育する小型のイネ科植物としてはニワホコリ Eragrostis multicaulis があり、育ち具合によっては紛らわしいことがある。