ヤマラッキョウ(山辣韭、学名:Allium thunbergii)は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草[4]。
ニラの臭いは弱い[2][3]。冬季には地上部は枯れて姿を消し[2][5]、地下の鱗茎だけが越冬する[5]。
地下の鱗茎は狭卵形で、長さ2-3cmになり、外皮は灰白色で、ときに古い外皮は繊維状に残る。葉は、春に3-5個が根出状に出て、長さ20-50cm、幅2-5mmになり、広線形で、断面は鈍三角形で中は中空、下部は葉鞘となる[2][3][4][5]。
花期は9-11月。花茎は高さ30-60cmになり、茎先に多数の花が束生し、径3-4cmの球状の散形花序になる。花柄は長さ10-15mmになり、同属のラッキョウ A. chinense と比べると花柄は短く、花序は混み合ってみえる。花被片は離生し、6個あって平開せず、紅紫色をし、楕円形から長楕円形で長さ5-6mmになる。雄蕊は6個あり、花糸は花より著しく長く突出し、花糸基部に歯牙はあるがラッキョウほど大きくはない。葯も紫色になる。花柱も細長く花から突き出る。子房は下位で3室あり、花後、倒心形の蒴果となる。蒴果は径5mmになり、3稜あって胞背裂開し、種子は黒色になる[2][3][4][5]。
日本では、本州(秋田県以南)、四国、九州に分布し、山地の草原に生育する[4]。世界では朝鮮半島、中国大陸、台湾に分布する[4]。
和名ヤマラッキョウは、「山辣韭」の意で、「山に生えるラッキョウ」の意味である[2]。
種小名(種形容語)thunbergii は、スウェーデンの植物学者、カール・ツンベルクへの献名[2]。
地上部が枯れる前に鱗茎を掘り起こし、きれいに水洗いし、軽くゆでて、甘酢、酢味噌で食べる。春から秋までの軟らかい葉は、天ぷら、油炒め、麺類の薬味にする[5]。