ソヨゴ(戦、冬青、具柄冬青、学名:Ilex pedunculosa Miq.)は、モチノキ科モチノキ属の常緑小高木。別名フクラシバ[2]。
風に戦(そよ)いで葉が特徴的な音を立てる様が由来とされ、「戦」と表記される。常緑樹で冬でも葉が青々と茂っていることから「冬青」の表記も見られる。「冬青」は常緑樹全般にあてはまるため区別するために「具柄冬青」とも表記される。(後述)
フクラシバの別名は葉を加熱すると内部で気化した水蒸気が漏出することができず、葉が音をたてて膨らみ破裂することから「膨らし葉」が語源とされる。
枝は灰色。葉は1-2センチメートルと長めの葉柄がある。葉は互生し[2]、葉身は卵状楕円形、やや革質、光沢があってのっぺりした外見を持つ。表面は深緑で滑らか、裏面はやや薄い色で中肋が突出する。縁は滑らかだが波打つのが特徴[2]。樹高は3-7メートルまで成長する[2]。
開花期は5-6月頃で雌雄異株。雌花は葉腋に単生し、雄花は集散花序に小さな白い花が数個まとまる。いずれもはっきりした柄がある。果実は5-6 cmの柄があってぶら下がり、直径7ミリメートルほどの球形で、10-11月に赤く熟す[2]。雌株であっても、近くに雄株が無ければ結実しない。モチノキやクロガネモチのように果実が多数密生することはない。
根は浅く張るために、大きく成長すると台風などによって倒れやすい。
中国、台湾および日本の本州中部、四国、九州に分布する。本州における分布の北限は新潟県と宮城県である[3]。山間部によく見られる。
果実が黄色くなるものをキミノソヨゴ f. aurantiaca (Koidz.) Ohwi という。また、長野県には茎が這って根を出し、葉は細長くて鋸歯が出る変種があり、タカネソヨゴ var. senjoensis (Hayashi) Hara がある。
日本にはモチノキ属のものが他にもあるが、多くは短い柄を持つ果実を密集してつける。しかしクロソヨゴ H. sugeroki Maxim. はやはり長い柄を持つ果実をつけ、葉の形などもやや似ているが、葉に鋸歯があり、全体にやや小さい。枝が黒っぽい。
公園木や庭木として植栽されている。日陰に強く、成長の遅い樹として重宝される。堅く緻密な材質ゆえにそろばんの珠や櫛の材料に使われる。また手斧など工具の柄に使われることも多かったことから「具柄冬青」と書かれるようになった。葉にタンニンが多く含まれていて、褐色の染料に利用されている[2][4]。他のモチノキ科と同じく樹皮から鳥もちが採れる。
日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[5]。