ハタケシメジ(畑占地/畑湿地)はシメジ科シメジ属の食用キノコ。
かさは径4~9cm、まんじゅう形からほぼ平らに開き、幼時は暗灰褐色で僅かに粉状をなすが、老成時にはやや淡灰色あるいはくすんだクリーム色となる。肉はやや厚く、もろいがしまった肉質で、傷つけても変色することはなく、味もにおいも温和である。ひだは密で柄に直生ないし上生し、ほぼ白色であるが、古くなると多少クリーム色を帯びることがある。柄は長さ5~8cm、太さ7~10㎜程度、ほぼ上下同大あるいは基部に向かってやや膨らみ、ほとんど白色、中実である。胞子紋は白色、胞子は類球形で無色・平滑、大きさ5.5~7.5×5~7μm、しばしば一個の大きな油滴を含む。
通常、数本ないし多数が柄の基部で合着して株状をなし、路傍や公園地などに発生する。しばしば、畑地や人家の庭先にも生じ、あるいは農家の納屋の床下に発生した例がある[1]。 形態的に酷似するホンシメジと異なり、外生菌根を形成せず腐生的に生育する。地中に長く伸びた柄の基部をていねいに掘り下げると、その末端に、埋もれた木材の破片・腐朽した落ち葉の堆積層などが見出されることが多い[2]。
北半球の温帯に広く分布する。日本でも、ほぼ全域で見出される。
多少の粉臭があるが歯切れがよく、さまざまな料理にあう。特に和風料理に賞用される。
菌床栽培が行われる。培地基材としてはバーク堆肥がしばしば用いられるが、木粉も使用できる(スギなどの鋸屑を使用する場合には、ときどき散水しつつ一定期間放置し、抗菌性物質を揮散させてから用いる)。培地添加物は、フスマやトウモロコシかすなどのほか、米ヌカあるいはビール粕も利用される。人工栽培法が確立している他の食用きのこと比べ、植菌後の培地への菌糸の蔓延に時間がかかり、植菌直後から充分に菌糸が生育するまでの期間における管理が重要となる[3]。 「ビン栽培」や「箱栽培」あるいは「袋栽培」も可能であるが、自然環境下では地中に埋もれた材片その他の有機物を栄養源としているため、 箱や袋などを用い、ブロック状の培地にじゅうぶんに菌糸を蔓延させた後、これを清潔な土中に埋め込むことにより、自然発生したものと同等の子実体を収穫する方法が普及しつつある。
育成および発生環境は、菌株の種類によって若干異なる。