フクイヴェナトル [1](Fukuivenator)は白亜紀前期に日本に生息していた恐竜の属である。獣脚亜目、コエルロサウルス類、マニラプトル形類に属する。体化石をもとに正式に記載された恐竜としては日本国内で7例目となる[2]。
フクイヴェナトルの種小名を含めた学名はFukuivenator paradoxusである。 属名のFukuiは、化石が福井県から産出したことにちなむ。venatorはラテン語で「狩人」を意味し、獣脚類であることにちなむ。種小名のparadoxusは「逆説の」という意味であり、マニラプトル形類としては原始的な特徴と派生的な特徴が混在している意外性にちなんで命名された。学名は「逆説の福井の狩人」といった意味になる[2]。
フクイヴェナトルの模式標本(FPDM-V8461)は福井県勝山市北谷にある発掘現場から見つかった。 化石が産出した地層は手取層群赤岩亜層群北谷層[2]に属し、露頭の時代は白亜紀前期のバレミアンからアプティアンとされている。この地層からは、放射性年代測定で1億2700万年から1億1500万年前の年代が得られている。 フクイヴェナトルの模式標本は部分的な骨格と頭骨からなる。フクイヴェナトルの骨格は日本から発見された恐竜化石の中では最も保存状態がよい。化石は160個もの骨と骨の断片からなり、関節が繋がった状態では発見されなかった。これらの化石はすべて50cm四方の狭い範囲から見つかった。
フクイヴェナトルは全長245cm、体重は25kgと推定される。 顕著な特徴としては、へら状の歯が前上顎骨に生えていること、上顎骨に鋸歯の発達しない鋭く曲がった歯が生えていること、頸椎が伸長して首が長くなっていることが挙げられる。 さらにフクイヴェナトルの骨学的な特徴として、マニラプトル形類の中の原始的な特徴と進歩的な特徴が混在していることが挙げられる。分岐分類学的な解析では、フクイヴェナトルはマニラプトル形類の基底に近いメンバーだとされた。正確な分岐関係は不明ながらも、基底に近い他のマニラプトル形類―オルニトレステス、コンプソグナトゥス科、オルニトミモサウルス類―と近縁だと考えられている。フクイヴェナトルにはドロマエオサウルス科とも共通する特徴があり、それは収斂進化の結果だと解釈された[3]。長い首と異歯性、鋸歯の発達しない歯などの特徴から、記載者らはフクイヴェナトルは純粋な肉食ではなく、草食(あるいは少なくとも卵食)に適応していたと主張している[4]。
フクイヴェナトル (Fukuivenator)は白亜紀前期に日本に生息していた恐竜の属である。獣脚亜目、コエルロサウルス類、マニラプトル形類に属する。体化石をもとに正式に記載された恐竜としては日本国内で7例目となる。