原核生物(げんかくせいぶつ、ラテン語: Prokaryota プローカリオータ、英語: Prokaryote プロカリオート)とは真核、つまり明確な境界を示す核膜を持たない細胞からなる生物のことで、すべて単細胞生物。
真核生物と対をなす分類で、性質の異なる真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)の2つの生物を含んでいる。
歴史的に原核生物は細菌(真正細菌、バクテリア)と同義語とされ、五界説では一括してモネラ界に分類されていた。このため、1990年ころ以前の資料で、原核生物の性質や構造として説明される内容が実際には真正細菌のものである場合が多い。
リボソームRNAなどをもとにした系統解析が進捗すると、原核生物は大きく異なる2つのグループ、真正細菌(狭義の細菌)と古細菌より構成されることが示され、また古細菌は真正細菌よりむしろ真核生物に近いことがわかった。すなわち、このことは原核生物は大きく異なった二つの系統からなり、加えて生物界を真核生物と原核生物に二分する分類が必ずしも実際の系統関係を反映しているとは限らないことを意味する。
真核生物と比較した場合の特徴は、遥かに小さいこと(多くの場合1-5μm)、細胞核やミトコンドリアを初めとする細胞内小器官が殆ど見つけられないことが最も大きい。この他に微小管を持たず、細胞質流動、エンドサイトーシスを行わない。細胞分裂の際にFtsZリングが出現する、有糸分裂を行わずDNAは細胞膜に付着して移動する、リボソームが70S(真核生物は80S)であることなど幾つか見つけられる。原核生物は非常に多様なので例外もまた多いが、基本的には上記の形質を保存している。そのバイオマス(生物量)は真核生物の数倍から数十倍に達するとも言われている。
真正細菌は大腸菌など、一般に「細菌」と呼ばれる生物やラン藻からなる。一方、古細菌には海底火山の熱水鉱床付近に生息する超好熱菌、陸上の温泉などに生息する好熱好酸菌、死海などの高塩濃度の環境に住む高度好塩菌、ウシの胃などに存在するメタン菌がある。
かつて古細菌は細菌類の祖先、ある種の生きた化石と考えられた時期もあるが、これは否定された。 原核生物は核を持たないことから、進化においてより原始的生物であると思われがちだが、多様な生物種が存在を脅かす現環境下で生き延び、非常に早い増殖を可能にするために無駄を省いたシステムを獲得したと考えることも出来る。極限微生物を多く配する現生原核生物は、高度に特殊化しており原始的な生物とは大きく異なっているとも、化石時代と構造が大差ないともみられるなど、評価は定まっていない。
自然 宇宙 地球原核生物(げんかくせいぶつ、ラテン語: Prokaryota プローカリオータ、英語: Prokaryote プロカリオート)とは真核、つまり明確な境界を示す核膜を持たない細胞からなる生物のことで、すべて単細胞生物。