フネガイ科(フネガイか、Arcidae)はフネガイ目に属する二枚貝の科の一つ。全世界に約200種が生息する。化石記録も豊富であり、特にエガイ属は三畳紀の層からも発見されている[1]。
殻は白から乳白色だが、茶色の筋が入ったり、全体が茶色い種もいる。生時は殻を厚い茶色の殻皮が覆っており、エガイ属のようにこれが殻の端から突き出し、毛状になる種もある[2]。このような殻皮は保護色・擬態としての役割も持つと考えられる。
蝶番線は長く真っ直ぐで、多数の特殊化していない歯が一列に並ぶ[2]。これは多歯型(taxodont dentition)と呼ばれ、原始的な特徴とされる。これに似た蝶番線がタマキガイ科・クルミガイ科・ロウバイガイ科などでも見られる。
全世界の熱帯から温帯の浅海域に分布する。オヤカタサルボウやカワワシノハガイ属の種は汽水域でも見られ、カワワシノハガイ属の中には淡水域に生息する種もある[1]。
ほぼ全ての種が足糸で岩などに付着するが、成長に連れて足糸を切り離し、堆積物内での底生生活に移行する種もある。水管はないが、血中にヘモグロビンを持ち酸素運搬能力が高いため、酸素濃度の少ない場所にも生息できる[2]。
学名"Arcidae"、英名"ark shells"、和名"フネガイ"などはフネガイ属 Arca の殻形に由来する。2枚の殻を合わせると、殻頂の間に広い平たいスペースができる。これを甲板に見立てると、全体としてノアの方舟のような形となるためである。
コンドルノハガイのような大型種はカリブ海域で食用、釣餌として用いられる。
日本では、アカガイ、サトウガイが主に寿司、刺身用に、サルボウガイが主に缶詰用に食用に供されている[3]。
いくつかの種では養殖も行われており、特にハイガイ Tegillarca granosa は東南アジア諸国において重要種となっている[4]。
WoRMS[5]による。