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Calmar Luciole

Watasenia scintillans (Berry 1911)

ホタルイカ ( japonais )

fourni par wikipedia 日本語
ホタルイカ Watasenia scintillans.jpg 分類 : 動物界 Animalia : 軟体動物門 Mollusca : 頭足綱 Cephalopoda 上目 : 十腕形上目 Decapodiformes : 開眼目 Oegopsida : ホタルイカモドキ科
Enoploteuthidae : ホタルイカ属 Watasenia : ホタルイカ W. scintillans 学名 Watasenia scintillans
(Berry, 1911) 和名 ホタルイカ 英名 firefly squid
toyama squid
Luminescent dwarf squid
Sparkling Enope Squid

ホタルイカ螢烏賊/蛍烏賊、学名Watasenia scintillans (Berry, 1911)[1])は、ツツイカ目 ホタルイカモドキ科に属するイカの一種である。後述のように食用とされる。

名称について[編集]

ホタルイカの属名Watasenia は1905年に和名を「ホタルイカ」と命名した明治期の生物学者渡瀬庄三郎にちなんで1913年に石川千代松によりつけられている[2]。富山の方言では「マツイカ」と呼ばれることが多かった。これはホタルイカが肥料として利用されることが多かったからとされる。

英名の一つであるfirefly squidは和名と同じく「ホタルのようなイカ」の意味で、toyama squidは日本の代表的な産地である富山湾に因む。米『ウェブスター辞典』のfirefly squidの項目には"a brilliantly luminescent squid (Watseonia scintillans) caught in great quantities off the western coast of Japan where it is used for fertilizer"と記載されている。冷蔵・運送が近代化される前は、地元での食用以外は、流通前に肥料として多く利用されたためである。

“ほたるいか”は「晩春」を表す季語の一つである[3]

分布と生態[編集]

世界にはホタルイカの仲間が40種類ほど生息している。

日本近海では日本海全域と太平洋側の一部に分布しており、特に富山湾に面する滑川市を中心とする富山県と、兵庫県日本海側で多く水揚げされている。ホタルイカというと富山湾をイメージする人は多いが、漁獲量は兵庫県の浜坂漁港が日本一(2017年で2734トン)で、富山県全体(同1299トン)を上回る[4]。普段は水深200m - 700mの深海に生息している。晩春から初夏までが産卵期で、1回当たり数千個から1万個の卵を産む。交尾と産卵は同時ではない。

触手の先には、それぞれ3個の発光器が付いている。何かに触れると発光するため、敵を脅すものではないかと考えられているが、光によって敵を誘導し、ただちに消灯してその場から逃げるという、いわばデコイとしての機能があるともされている[5]。体表の海底側(腹側)には細かい発光器があり、これは海底側にいる敵が海面側にいるホタルイカを見ると、海面からの光に溶け込み姿が見えなくなるカウンターシェイディング効果の役割を果たしている。海面側から海底に向かって見た場合はこの効果が働かないため、体表の海面側(背中側)には発光器はほとんど存在しない。

発光物質[編集]

発光反応の全容は未解明である。しかし、「セレンテラジンジサルファイト化合物(coelenterazine disulfate、二硫化セレンテラジン化合物、ルシフェリンの一種)によると考えられており、アデノシン三リン酸(ATP)とマグネシウム(Mg)が大きく関与している」。また、「発光反応の最適温度は、5℃でホタルイカの生息適温と対応している」などが判明している[6]

利用[編集]

主に食用となるほか、養殖マグロ飼料用途への研究がされている[7]

漁法[編集]

漁期は2月から5月頃、主な産地は日本海側の兵庫県、富山県、鳥取県、福井県などである。

  • 富山県(富山湾)では、定置網漁により夜間に沿岸に浮上してくる個体を明け方前に捕獲する。また、この漁を見学するための観光船が漁期のみの期間限定で滑川市で運航されている[8]。富山湾沿岸での定置網漁であるためホタルイカを傷つけ難いことと鮮度が良いことが特徴である。
  • 兵庫県(山陰沖)での底引き網漁は昭和60年(1985年)頃に開始され、深さ200m程度を回遊している個体を捕獲する[9]。年間2000tから3000t程度[10]を捕獲しており捕獲量は、富山県より多い[11]

食用[編集]

富山県では古くから食用とされ、炒め物、佃煮を含む煮物酢味噌和え沖漬け素干し天ぷら唐揚げ、足だけを刺身にした竜宮そうめんなどがある[12]腐敗が早いため冷凍・冷蔵での高速輸送手段が発達するまで、産地以外での食用は困難だった。現代では、首都圏など水揚げ漁港から遠い地域の食品スーパーマーケットや鮮魚店で販売されるほか、居酒屋回転寿司[13]などで提供される。

傷みやすいことによる食中毒や、後述するような寄生虫の虞があるため、古くより食してきた地元でも生では食べなかった。平成になってから、冷凍などの処理をしたものが生食用として春先の店頭に並ぶことが多くなっている(生食の注意点については後述)。

食味やの漁獲高が多いことだけでなく、近年は栄養面でも評価されている。富山短期大学教授の竹内弘幸(食品機能学)の分析によると、ビタミンAビタミンB12タウリンを多く含む[14]

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    東京のスーパーで売られるホタルイカ

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    ホタルイカの辛子酢味噌和え

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    ほたるいか醤油漬け(2010年2月22日撮影)

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    刺身と竜宮そうめん(ほたるいかミュージアムにて)

生食[編集]

漫画『美味しんぼ』第37巻収録の「生きた宝石」[15]で、ホタルイカについて生きたまま食べる描写(ホタルイカの踊り食い)がなされている[16][17]。作中では肝のおいしさが絶賛されているが、ホタルイカには旋尾線虫亜目に属する旋尾線虫( Crassicauda giliakiana )[18][19]寄生しているため、生食の際は厚生労働省が指定した方法で処理を行う必要がある。未処理品の「踊り食い」や処理が不完全な物を食用とした場合、後述の寄生虫症を発症することがある[20]

厚生労働省による通知、(衛食第110号 衛乳第125号 平成12年6月21日)
  1. 生食を行う場合には、次の方法によること。
    -30℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する条件で凍結すること。(同等の殺虫能力例:-35℃(中心温度)で15時間以上、または-40℃で40分以上)
    なお、凍結処理を行った場合、製品にその旨表示を行うこと。
    内臓を除去すること、または、内臓除去が必要である旨を表示すること。
  2. 生食用以外の場合には、加熱処理(沸騰水に投入後30秒以上保持、もしくは中心温度で60℃以上の加熱)を行うこと。
  3. 販売者、飲食店等関係営業者に対し、生食用としてホタルイカを販売等を行う場合には、1.にある方法により処理したものを販売するよう指導すること。
  4. 一般消費者に対し、ホタルイカを生食する場合の寄生虫感染の可能性について情報提供を行うとともに、生食する場合には1.にある方法による旨を啓発すること。

寄生虫症[編集]

生食により寄生虫症を発症し、急性腹症として腸閉塞、皮膚爬行症、眼球移行症などを起こすことがある[21]。国立感染症研究所によれば、最初の症例報告は1974年の秋田県での腸閉塞の疑い例とされている。その後、報告は1987年まで途絶えるが以降1994年までに約50例が報告され注目された。診断は摘出虫体の病理組織学的同定(とり出して調べる)。治療法は今のところ外科的摘出(広い目にメスを入れて引っ張りだす)のみ。

症状
  • 急性腹症 - 潜伏期間:1 - 3日程度。嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、腸閉塞[22][23]
  • 皮膚爬行症 - 潜伏期間:2週間程度。皮膚にミミズバレなど、眼球移行も報告されている[24]

観光など[編集]

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身投げしたホタルイカ(富山市浜黒崎海岸にて)

ホタルイカが水揚げされる富山県の富山市から魚津市にかけての富山湾沿岸は、ホタルイカの群遊海面として有名であり、ホタルイカは春の風物詩として知られている。富山湾に流入する常願寺川の河口左岸から魚津港までの約15km、満潮時の沖合1,260mまでの海域は1922年(大正11年)に国の天然記念物に指定され、1952年(昭和27年)3月29日には「ホタルイカ群遊海面」の名称で特別天然記念物に格上げされている[25]。天然記念物指定を「ホタルイカ」とすると食用にはできないために、「群遊海面」としたのである。

前述のように、富山湾でのホタルイカ定置網漁の様子は観光船から見学できる。

4-5月の富山湾沿岸では、「ホタルイカの身投げ」と呼ばれる、大量のホタルイカが波によって浜に打ち寄せられる現象が、夜中から夜明け前の暗がりの中で幻想的に見られることがあり[26]、県民が波打ち際や堤防などから網ですくい持ち帰る様子が見られる。

富山県滑川市には、ホタルイカの様子を観察できる「ほたるいかミュージアム」がある。

富山湾を上回る漁獲量がある浜坂でも毎春「浜坂みなとほたるいか祭り」を開いている[27]

ホタルイカは1966年(昭和41年)7月1日発売の35円普通切手の意匠になった。

参考文献[編集]

出典[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 窪寺 (2000)、p.3
  2. ^ 窪寺 (2000)、pp.2-3
  3. ^ きごさい歳時記「蛍烏賊」NPO法人きごさい(季語と歳時記の会)、2018年3月26日閲覧。
  4. ^ 【列島をあるく】旬の食材■ホタルイカ 刺し身で春を/兵庫・浜坂漁協、ブランド化へ『朝日新聞』朝刊2018年4月10日(第2東京面)
  5. ^ "富山湾 ホタルイカ~海の宝石 青い光の真実~". Canon Presents 奇跡の地球物語〜近未来創造サイエンス. テレビ朝日. 2014年4月6日閲覧。
  6. ^ 寺西克倫ホタルイカ生物発光の発光発現機構の化学的解明 三重大学大学院生物資源学研究科
  7. ^ 瀬岡学、ほか:クロマグロ稚魚用配合飼料のタンパク源としてのホタルイカミールの有用性 水産増殖 = The aquiculture 58(1), 143-144, 2010-03-20
  8. ^ ほたるいか海上観光滑川市観光協会(2018年3月26日閲覧)
  9. ^ 山陰沖のホタルイカ 兵庫県立農林水産技術総合センター 但馬水産技術センター
  10. ^ 水産業の概況 兵庫県 (PDF)
  11. ^ ホタルイカ 富山県
  12. ^ お宝!日本の「郷土」食11(富山県滑川市)ホタルイカ料理農林水産省『aff』2011年6月号(2018年4月11日閲覧)
  13. ^ 期間限定「ほたるいか」スシローのメニュー(2018年3月26日閲覧)
  14. ^ 【食旬な産地】富山県滑川市*ホタルイカ 高い栄養価/刺身で楽しむ濃厚な味わい『読売新聞』朝刊2018年3月21日(くらし面)
  15. ^ 雁屋 & 花咲 (1993, 第6話)
  16. ^ 第37巻 6話 生きた宝石”. 美味しんぼ塾ストーリーブログ. オリジナルよりアーカイブ。^ 料理名:ホタルイカの踊り食い”. oishimbo.jp. オリジナルよりアーカイブ。^ 杉山広、森嶋康之、荒川京子、木白俊哉、川中正憲.旋尾線虫をめぐる新しい展開.寄生虫分類形態談話会報,25, 4-7 (2007)
  17. ^ 杉山広 食品媒介寄生虫による食中毒 日本食品微生物学会雑誌 Vol.27 (2010) No.1 P1-7
  18. ^ 杉山広 「食品と寄生虫感染症」、食品衛生学雑誌 Vol.51 (2010) No.6 P285-291
  19. ^ 影井昇:新顔の寄生虫病--ホタルイカ寄生の旋尾線虫幼虫による急性腹症と皮膚爬行症 医学のあゆみ 174(11), p852-853, 1995-09-09
  20. ^ 守田万寿夫、中村浩、浦出雅昭、廣沢久史 ホタルイカ生食が原因と思われる腸閉塞様症状を呈した症例の検討 日本消化器病学会雑誌 Vol.92 (1995) No.1 P26-31
  21. ^ 青山庄、ほか 旋尾線虫幼虫type Xの関与が強く示唆されたホタルイカ生食による急性腹症10例の臨床的検討 日本消化器病学会雑誌 Vol.93 (1996) No.5 P312-321
  22. ^ 大前あゆみ、ほか ホタルイカ生食で発症したcreepingdisease 皮膚 Vol. 43 (2001) No. 1 P 1-2
  23. ^ ホタルイカ群遊海面-社団法人農林水産技術情報協会 2012年5月13日閲覧。
  24. ^ 林 (2000)、p.60
  25. ^ 浜坂みなとほたるいか祭り新温泉町ホームページ(2018年4月11日閲覧)

関連項目[編集]

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外部リンク[編集]

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ホタルイカ(螢烏賊/蛍烏賊、学名Watasenia scintillans (Berry, 1911))は、ツツイカ目 ホタルイカモドキ科に属するイカの一種である。後述のように食用とされる。

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