ゲンゴロウモドキ属
分類 界 :
動物界 Animalia 門 :
節足動物門 Arthropoda 綱 :
昆虫綱 Insecta 目 :
コウチュウ目(鞘翅目)
Coleoptera 亜目 :
オサムシ亜目 Adephaga 上科 :
オサムシ上科 Caraboidea 科 :
ゲンゴロウ科 Dytiscidae 亜科 :
ゲンゴロウ亜科 Dytiscinae 族 : Cybistrini
属 :
ゲンゴロウモドキ属 Dytiscus 学名 Dytiscus Wehncke, 1875 ゲンゴロウモドキ属(ゲンゴロウモドキぞく、英: Dytiscus)は、ゲンゴロウ科を分類する属のうちの1属である。
本属の特徴としては、体型は卵型か楕円形で、一般に雄の方が雌よりかなり大型である。背面は緑色を帯びた黒色で、通常雄では平沢であるが、雌は点刻を密布して光沢を欠く。頭頂部には黄褐色から赤褐色の斑紋を装い、頭楯・上唇は黄褐色。前胸背は周縁または外縁に沿って幅広い黄紋により縁取られる。上翅は外縁に沿って幅広く黄色。雄では3条の点刻列を、雌は通常10条内外の深い縦溝を装う。雄の前附節の第1 - 3節は円形となる。後肢は細長く、末端に2個の多少湾曲した爪をそなえる。
大型種を含むグループで、旧北区および新北区に広く分布し、Roughleyによると28種に整理されている。最大種en:Dytiscus latissimus(Linnaeus,Wehncke, 1758)はヨーロッパに分布し、体長44㎜に達する。交尾の際には、雌の尾端には雄の分泌物により白色の交尾栓が形成されるが、交尾栓はメスが自ら後肢で外して複数回の交尾が可能となる。
日本には次の3種が分布する。
- ゲンゴロウモドキ D. dauricus Geblar, 1832
- 体長30 - 36㎜。日本国内では北海道、本州(青森県)、海外ではサハリン、ウスリー、シベリア東部から北アメリカ大陸北部にかけて広範に分布する。
- 体型は長卵形で次種より細長い。背面はわずかに緑色を帯びた黒褐色だが、頭楯、上唇、触角、口枝、前胸背板および上翅の両側側縁部は黄色 - 淡い黄褐色である。前胸背周縁の黄色部の幅は次種より狭い。前頭中央V字紋は赤褐色。前頭中央後方には暗赤色の三角形の紋がある。前頭両側の黄色部の内側には点刻を有する浅い凹みがあり、上唇前縁は多少とも湾入する。前胸背板は前縁付近と後縁の一部に粗い点刻列を不規則に備え、雄では光沢があるが、雌では点刻列を密に装い光沢はないか鈍い。雄の上翅は光沢があり各2条の点刻列と後方に粗い点刻を散布する。雌の上翅には2型があり、やや光沢は鈍いが雄の上翅と判別不能な個体(雄型の雌)と、より強い点刻が散布され上翅前約3分の2に及ぶ各10条の深い縦溝を常にそなえる個体(縦溝型の雌)に区別され、次々種のように連続的に変化することはない。腹面は黄褐色で光沢が強く後胸部は前方を除き黒褐色、後基節後縁、後基節突起の周縁および腹部各節の前縁部は黒褐色の紋が広がる。後基節突起は長く伸び先端部は鋭くとがる。脚は黄褐色で、中・後肢の脛節および附節には雌雄ともに長い遊泳毛を持つ。雄の前・中附節は基方3節が広がり吸盤を形成する。
- エゾゲンゴロウモドキ(キタゲンゴロウモドキ) D. marginalis czerskii Zaitzev, 1953 - 絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
- 体長31 - 36㎜。体型は長卵形。日本国内では北海道(道南部から道東部)、本州(青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、栃木県[1])、海外ではシベリアからヨーロッパにかけて広域に分布しており、本亜種の分布は極東付近と日本である。主として山間部にある水の比較的きれいな池沼などに生息する。分布の南限は栃木県日光市の中禅寺湖(1884年)とその湖畔の千手ヶ浜(1990年)である[1]。
- 本種は従来D. czerskii があてられてきたが、Roughley(Wehncke, 1990)によりD. marginalisの亜種として整理された。また、東北地方からキタゲンゴロウモドキD. delictus Zaitzev, 1906として知られていたものは本種に該当する。
- 体型は長卵形。背面はわずかに緑色を帯びた黒褐色。頭楯、上唇、触角、口枝、前胸背板および上翅の両側側縁部は黄色 - 淡い黄褐色である。前頭中央V字紋と両眼内縁は赤褐色。前頭両側の黄色部の内側には点刻を有する浅い凹みがあり、上唇前縁は多少とも湾入する。前胸背板は前縁付近と後縁の一部に粗い点刻列を不規則に備え、雄では光沢があるが、雌では点刻列を密に装い光沢がない。雄の上翅は光沢があり各2条の点刻列と後方に粗い点刻を散布するが、雌の上翅はより強い点刻が散布され、上翅前約3分の2に及ぶ各10条の深い縦溝を備えるが、縦溝のない個体も報告されている。腹面は黄褐色で光沢が強く後胸腹板内方、後基節後縁、後基節突起の周縁および腹部第4・5節の前縁部は黒褐色となる。脚は黄褐色で、中・後肢の脛節および附節には雌雄ともに長い遊泳毛を持つ。雄の前・中附節は基方3節が広がり吸盤を形成する。
- 北海道産と本州産では外部形態による区別は困難だが、雄交尾器中央片に若干の違いがある。
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シャープゲンゴロウモドキ D. sharpi - 絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)
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国内希少野生動植物種指定を受け捕獲・採取や譲渡(販売や譲渡など)は原則禁止。
参考文献[編集]
ウィキメディア・コモンズには、
ゲンゴロウモドキ属に関連するカテゴリがあります。
ウィキスピーシーズに
ゲンゴロウモドキ属に関する情報があります。