コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)は、ゴミムシダマシ科の甲虫である。世界中で穀物等の貯蔵食物にとっての害虫であり、動物行動学及び食品安全研究のモデル生物である[1]。
体長3-4mm、全体に赤褐色で、光沢は少ない[2]。頭部には点刻が密布しており、その両側は眼の前で左右に少し広がり、眼の前半を上下に分ける。触角は先端から3節が横長になっている。前胸部背面では両側には点刻が多く、皺があるように見え、中央では少ない。
コクヌストモドキは、小麦、シリアル、パスタ、ビスケット、豆、ナッツ等の貯蔵された食物に損傷を与える。恐らくアレルゲンになるが、病気を拡散したり、機器に損害を与えることは知られていない。
コクヌストモドキは、インド-オーストラリア起源で、野外では近縁種のヒラタコクヌストモドキと比べて長く生きられない。両種とも温暖環境では世界中に分布するが、本種はより南に分布する。成虫は長命で、3年以上生きることもある。かつては比較的定住性の昆虫であると考えられていたが、分子生物学的、生態学的研究により、飛翔によってかなりの距離移動することが明らかとなった[3]。
この種は、 ヒラタコクヌストモドキと非常によく似ているが、それぞれの触角の末端に3つの棒状の構造が付いている点が異なる。