ネブラスカオオカミまたはグレートプレーンズオオカミ(学名 Canis lupus nubilus)は、食肉目イヌ科に属するオオカミの亜種の一つ。カナダからテキサス州に至る大平原地帯(グレートプレーンズ)に生息していた。アメリカ合衆国中部では1927年に絶滅したが[1]、現在は五大湖西岸地域[2]からカナダに分布する。中型のオオカミで、体長140-200cm、体重27-50kg前後。体毛は明るい灰色だが、白いものもある。
インディアンはオオカミに対して畏敬の念を持っていたが、そのような文化を持たないヨーロッパからの移住者の到来によって事態は変わった[1]。ネブラスカオオカミが家畜を襲ったことから、人間はオオカミを害獣としてさかんに駆除の対象とした[1]。一般的な方法はバイソンの死体に猛毒のストリキニーネを仕込んでおくものであったが、同じくバイソンの肉を食料とするワシやカラス、コヨーテ、果てはバイソンを生活の糧としていた平原インディアンまでが巻き添えとなった[1]。他にも銃や罠も駆除に用いられた[1]。さらには、駆除に賞金がかけられ、ネブラスカオオカミの減少を促すこととなった[1]。
1973年に絶滅危惧種法が制定され、ミネソタ州北部に生息していた数百頭、およびロイヤル島(スペリオル湖にある島:ミシガン州)の数頭が保護の対象になった[3]。その後の生息数回復活動とカナダからの移入によって、生息数を増やすことに成功した。2007年1月29日、魚類野生生物管理局は五大湖西岸地域と北ロッキー山脈地域(シンリンオオカミCanis lupus occidentalis)のオオカミを、絶滅危惧種法の対象から外すことを発表したが[4]、司法判断によってこの行政処置は棄却され絶滅危惧種としての指定が復活した[5]。
アメリカ合衆国魚類野生生物局による2006年生息数の調査・推定値[6]は以下のとおり。
「『シートン動物記』の一編『狼王ロボ』に登場するオオカミの群れはネブラスカオオカミである」とする記述が見られることがある。しかしながら、著者のシートンとオオカミの群れを束ねる「カランポーの狼王」ロボの対決はニューメキシコ州を舞台とすることから、この作品に登場するオオカミは生息地域が一致するメキシコオオカミであると考えられる。