ニガクサ属(Teucium L.)はシソ科の植物の属。花弁は下側の唇弁ばかりが大きい。
1年性ないし多年生の草本が多く、少数ながら低木のようになるものがある[1]。葉は対生して縁に鋸歯があるか、または滑らか。花は葉腋に出るか、あるいは細長い総状花序を作る。葉腋に出る場合には花は輪生し、また穂状に出る場合には苞を伴い、花色は白から淡紅色、淡紫色など[2]。花は大抵は2個ずつ付き、時に多数つける。
萼は筒状で10本の脈が走り、先端は5つの歯に分かれる。花冠は二唇形だが唇弁のみが目立つ一唇形に見える。実際には上唇は2裂、下唇は3裂しているのであるが、下唇が大きく広がるのに対して、上唇が小さくなっている上に大きく深く二裂しているので、まるで下唇の基部にある突出部にしか見えないためである。
雄蘂は4本で上唇の大きな裂け目から上に向かって突き出す。4本の内で前方の2本が長く、また葯は開出して基部で癒合する[3]。子房は浅く4列しており、互いに大きい部分でくっつき合う。分果には網目模様がある。
属名は古代トロイの王テウケル(Teucer)に由来するとも[4]。
世界の暖温帯域を中心に約100種が知られる。
日本では以下の種が知られる。
日本に産するものは全て野草であり、人家周辺に出現することも少ない。特に利害はない。
国外のものでは南ヨーロッパのジャーマンダー T. chamaedrys は園芸用に栽培され、またハーブとして薬草として使われたこともある[5]。
ニガクサ属(Teucium L.)はシソ科の植物の属。花弁は下側の唇弁ばかりが大きい。