本文記載
和名 ナンバンハコベ(南蛮繁縷) ウィキメディア・コモンズには、ナンバンハコベに関連するメディアがあります。ナンバンハコベ(南蛮繁縷、学名:Cucubalus baccifer var. japonicus )は、ナデシコ科ナンバンハコベ属の多年草。別名、ツルセンノウとよばれる[1]。
茎はよく分枝し、つるのように細長く横に伸び、長さは1.5 - 1.7mほどになり、他のものに寄りかかって生長する[1]。緑色で茎には細毛が生え、節がある[1]。
葉は長さ1 - 4mmの葉柄をもって対生し、葉の形は広披針形(こうひしんがた)から卵状楕円形で、先端は鋭尖[1]。大きさは長さ2 - 9cm、幅1 - 2.5cmになり、葉縁はなめらかで、縁と裏面に毛が生える[2]。
花期は夏から秋の7 - 10月にかけて咲き、枝分かれした小枝の先に1個の花を、横向きないし下向きにつく[1]。萼(がく)は緑色で、合生して筒状の広鐘形になり、5中裂し、裂片は長卵形で長さ1 - 1.2cmあり、先端は鋭形になる。花弁は5個で離れてつき、白色、長さ約15mmで、途中から反り返り爪部は長く、舷部はくさび形となって2裂する[2]。雄しべは子房より下位につき10本、花柱は3本ある[1]。
果実は液果状の蒴果で黒色に熟し、径6 - 8mmの球形[1]をしている。果実は裂開せず、中に多数の種子が入っている[2]。種子の長さは約1.3mmの腎形で、光沢のある黒色になる。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し[2]、世界では、中国の東北部、朝鮮半島、アムール、ウスリー、サハリン、千島などに分布する。山野に自生する。和名にナンバン(南蛮)とつくが、帰化植物ではない在来種である[1][2]。
ナンバンハコベ属に属する種は、ユーラシアの温帯に1種のみ存在する。ナンバンハコベ属 Cucubalus L. は、センノウ属 Lychnis L. とともに、マンテマ属 Silene L. に含める場合がある。